Aviva Investors、投資家の不動産投資比率を高める要因がESG要素であると示す調査を発表

投資家の実物資産への投資比率を高める要因として、ESGが浮上。

1月23日、Aviva Investorsが発表した新しい調査によると、ESGとサステナビリティは、機関投資家の不動産投資への配分を増加させる重要な推進力として浮上しており、ほぼすべての投資家が不動産投資の決定においてESG要素を考慮していることが明らかになった。

同社の調査レポート「Real Asset Study 2023」において、Aviva Investorsは、コアデータ・リサーチが実施した調査で、欧州、北米、アジアの年金基金、保険会社、グローバル金融機関、公的機関など、合計3兆5千億ドル(約457兆円)の運用資産を持つ500の機関投資家を対象に調査を行った。

本調査では、不動産への投資意欲が高まっていることが明らかになった。今後2年間に実物資産への配分を増やす予定の投資家が3分の2近くいるのに対し、減らす予定の投資家はわずか12%であった。不動産資産への投資動機としては、分散投資が依然として最も重要であり、次いでインフレ連動型収入を提供できることが挙げられているが、持続可能性の要素はますます重要な推進力となっており、回答者の28%が、不動産資産への投資を行う主な理由としてESGにプラスの影響を与えることを挙げており、3年前のわずか17%から大きく上昇している。

さらに、「ESGや持続可能な投資アプローチに対する考え方の大きな変化」は、不動産資産にも及んでおり、93%の投資家が実物資産への投資決定においてESG要素を考慮しており、そのうち17%は「重要かつ決定的」な要素とみなしていることがわかった。

同様に、投資家が不動産投資を拒否または売却する理由の上位には、ESG要素が大きく取り上げられており、回答者の38%がESG認証または影響に関する明確性の欠如を、32%がESG根拠に関するパフォーマンスまたは開示のレベルに対する懸念を報告しており、47%の過去のパフォーマンスの低さに次ぐ順位となっている。

回答者の4分の1以上が、持続可能な実物資産への配分を増やす計画を報告しており、中でも再生可能なインフラは主な受益者であり、44%がすでにエクスポージャーを持ち、それを増やす計画、さらに15%が投資を検討していると回答している。

本報告書では、投資家が持続可能な不動産資産への投資比率を高めることを決定する主な要因を調査し、企業価値との整合性、リスク管理、持続可能な投資による財務パフォーマンスの実証の増加がその主な要因となっている。また、持続可能な不動産投資に対する最大のリスクも明らかにされ、回答者の半数以上がグリーンウォッシュを含むと回答し、次いで高い評価とインパクトの測定の難しさが挙げられている。

また、財務的リターンとポジティブなESG効果を併せ持つ投資戦略が最も支持されていることがわかった。本レポートによると、これらの要因は、エネルギー転換に焦点を当てた投資を「スイートスポット」として強調し、両方の要因で上位にランクインしている。投資家の50%がエネルギー転換を支援する投資は最高のESG効果をもたらすと回答し、56%がこのテーマは最高の財務的リターンをもたらすと回答している。ネット・ゼロ目標を組み込んだ投資テーマが最高のESGインパクトをもたらすと答えたのは42%であったが、最高の財務的リターンをもたらすと答えたのは17%にとどまった。

【参照ページ】
(原文)Sustainability considerations a factor for nine-out-of-ten Real Assets Investors – Aviva Investors Real Assets Study
(日本語参考訳)Aviva Investors、投資家の不動産投資比率を高める要因がESG要素であると示す調査を発表

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