クレディ・アグリコル、戦略計画「ACT 2028」を公表 欧州リーダーとトランジション主導を掲げる

11月18日、クレディ・アグリコルS.A.は中期戦略計画「ACT 2028」を発表した。欧州のリーディングバンクとして、トランジションと新技術の分野でも主導的役割を果たす「攻めの銀行」であることを掲げ、成長加速と事業変革を同時に進める方針である。

同計画は、グループ顧客数6,000万、収益の約6割をフランス国外で計上、コスト/収益比率55%未満という3つの中核目標を2028年までに達成することを狙う。財務面では、純利益(グループ持分)85億ユーロ超、自己資本利益率(ROTE)14%超をターゲットとし、2024〜2028年の平均売上成長率3.5%超を見込む。

成長戦略としては、フランス国内では地域銀行・LCL・BforBankの3チャネルを生かしたリテール強化により800万超の新規顧客獲得を目標とする一方、イタリアを第2の本拠として収益の約2割を担う市場へ育成する。ドイツでは「Crédit Agricole Deutschland」を軸に顧客基盤を倍増させ、欧州向けデジタル貯蓄・プロフェッショナル向けデジタルバンクの展開も進める。アジアではAmundiを中心に1,500億ユーロの純流入を目標とするなど、資産運用・インベストメントバンキング・カストディ業務を拡大する。

トランジション分野では、グリーン資産/ブラウン資産比率を90/10とすること、2,400億ユーロのトランジション・ファイナンス供給、コーポレート&投資銀行部門で10億ユーロのサステナブル・ファイナンス収益、60万戸の住宅断熱改修支援などの具体的数値目標を掲げる。加えて、退職・資産承継・高齢化対応を含む「人口動態トランジション」に対しても、年金・資産運用商品を通じて対応する。

変革面では、AIとデータを中核インフラと位置づけ、グループ共通のデータ・マーケットプレイスやKYCプラットフォームを整備し、コンプライアンス業務効率を約半減させる計画である。さらに、デジタルID・信頼性保証などを扱う「Digital Trust」事業、トークン化金融・暗号資産カストディ、量子技術の研究など、新技術分野の事業化も進める。

人材・組織面では「Trust Index」によってエンゲージメントを測定し、戦略的人材プールにおける女性比率50%、国際プロフィール30%、全役員の共通育成プログラム受講などを2028年の目標とする。

財務健全性については、クレディ・アグリコル・グループとしてCET1比率17%以上、LCR110〜130%、NSFR110〜120%を維持しつつ、リスク加重資産の最適配分と高収益案件への資本配分を進める。株主還元方針は配当性向50%(現金)とし、2026年から中間配当を導入する計画である。

(原文)Crédit Agricole S.A. unveils its strategic plan ACT 2028
(日本語参考訳)クレディ・アグリコルS.A.が戦略計画ACT 2028を発表

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