クルーズ会社MSC Cruisesと造船会社Fincantieri、世界初の水素エネルギー利用クルーズ客船を就航へ
7月6日、MSC CruisesグループのラグジュアリートラベルブランドExplora Journeysと造船グループFincantieriは、世界で初めて水素を動力源とする豪華客船2隻の建造に関する覚書(MOA)を締結したと発表した。
新造クルーズ船「EXPLORA V」「EXPLORA VI」は、メタンスリップ問題に対応した液化天然ガス(LNG)エンジンを搭載し、液体水素の封じ込めシステムなど業界初の環境技術により、燃料の利用を実現する予定である。
水素燃料は6MWの燃料電池に供給され、ホテル運営に必要な排出ガスのない電力を生産する。港ではエンジンを停止してゼロエミッションでの運航を可能にする。
LNGは現在、最もクリーンな船舶用燃料で、硫黄酸化物99%、窒素酸化物85%、粒子状物質98%といった大気汚染物質の排出をほぼゼロにできる。また、LNGは気候変動の緩和にも重要な役割を果たしており、通常の船舶用燃料に比べてCO2排出量を最大25%削減する可能性がある。
クルーズ船VとVIが加わることで、Explora Journeysの船隊は合計6隻となる。また、先に発表したEXPLORA IIIとIVもLNGを燃料とする予定だ。この2隻は、LNGと水素を利用した新世代のシステムを搭載できるよう、19メートルの大型化が予定されている。
Explora Journeysの全6隻は、窒素酸化物排出量を90%削減できる選択的触媒還元技術、港湾での排出量を削減できる陸上電源プラグ接続装置、海洋生物保護のための水中騒音管理システムを装備する。また、全6隻の船内には、エンジンの使用を最適化し、排出量をさらに削減するためのエネルギー効率化装置を搭載する。
2隻の新造クルーズ客船は、それぞれ2027年と2028年に就航する予定だ。