6月28日、チューリッヒに拠点を置くDirect Air Capture(DAC)スタートアップのClimeworksは、6億5000万ドル(約880億円)の増資を行い、同社最大のDACおよび貯蔵プラントである「マンモス」の起工式を発表した。
マンモスは、年間36,000トンのCO2回収能力を見込んでおり、Climeworksの現在の主力施設であるオルカ(容量4,000トン、すでに世界最大のDAC施設)よりも一桁大きな施設となる。新施設の建設は、操業開始まで18-24カ月かかると予想される。
DAC技術は、IEAがネット・ゼロ・エネルギー・システムへの移行における重要な炭素除去オプションとして挙げているもので、大気中から直接CO2を抽出して原料として使用したり、貯蔵と組み合わせて永久に除去したりするものである。今年初めに発表されたIPCCの気候変動緩和研究によると、温暖化を1.5℃に抑えるシナリオでは、二酸化炭素の除去方法は今後数十年にわたって年間数十億トンにまで拡大し、DACはその大部分を占める可能性があるとされている。
Climeworksは、2009年にChristoph GebaldとJan Wurzbacherによって設立され、DACのリーディングプロバイダーとして成長してきた。ClimeworksのDACは、再生可能エネルギーまたは廃棄物から生成されるエネルギーだけで駆動する。本装置は、モジュール式のCO2回収装置で構成されており、ファンで空気を吸い込み、高選択性フィルター素材の表面にCO2を捕獲し、高純度、高濃度のCO2を取り出す。
同社の商業規模プラントはいずれもアイスランドにあり、CO2の永久地下貯留を行うCarbfixや、マンモスにヘリシェイジ地熱発電所から再生可能エネルギーを供給して空気直接回収・貯留プロセス全体の電力供給を行うON Powerなどのアイスランド企業とのコラボレーションが特徴となっている。
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(原文)Climeworks takes another major step on its road to building gigaton DAC capacity