デロイト、気候変動への無策の代償を50年間で約2京2,600兆円と試算

5月23日、デロイトが発表した新しい調査報告書は、気候変動に対して世界的に協調したアプローチをとる場合と、行動をとらない場合の経済的な違いを明らかにした。気候変動に対して行動をとらない場合、今後50年間で178兆ドル(約2京2,600兆円)ものGDPの破壊につながる一方、地球規模の気候目標を達成すれば、同期間で43兆ドル(約5,400兆円)の経済効果がもたらされるとも明かした。

本研究「転換点 – グローバルなまとめ」は、プロフェッショナルサービス会社が最近立ち上げたデロイトの持続可能な発展のためのセンター(DCSP)が発表したものだ。本レポートは、アジア太平洋、ヨーロッパ、南北アメリカの15地域のシナリオに基づいたデータをモデリングしたデロイト経済研究所の調査に基づいており、今世紀末までに地球が3℃温暖化した場合と、2050年までに脱炭素化しグローバルネット・ゼロを達成した場合の影響を検証している。

経済的影響は、アジア太平洋地域で最も大きく、2070年までの損失の現在価値は96兆ドル(約1京2,000兆円)と推定され、次いで南北アメリカで36兆ドル(約4,500兆円)、ヨーロッパで10兆ドル(約1,300兆円)と推定される。

協調的気候変動対策シナリオによる上方効果も同様に、アジア太平洋地域が最も恩恵を受け、2070年のGDPを5.7%押し上げ、次いで欧州が1.8%、米州が1.6%と試算される。上記のシナリオは、気候変動の害を減らすだけでなく、世界経済の方向性を変え、新たな雇用、産業、イノベーションをもたらすことを想定している。

報告書では、後者のシナリオを実現するために必要な一連の重要な段階を詳述している。まず、官民の連携から始まり、政府が金融サービスやテクノロジー部門と協力して、基盤となる低炭素政策や枠組みを構築し、資本の流れやイノベーションを促進し、低排出産業を優先した大規模な投資につながるが、排出集約型産業の衰退による経済的混乱がある程度生じるようにする。次の段階では、ネット・ゼロ移行のメリットがコストを上回り始めるターニングポイントに到達し、最終的に低排出で加速成長する未来が達成されるという。

【参照ページ】
(原文)Deloitte research reveals inaction on climate change could cost the world’s economy US$178 trillion by 2070
(日本語訳)デロイト、気候変動への無策の代償を50年間で178兆ドルと試算

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