5月10日、世界最大手規模のIT企業である IBM が実施した新しいグローバル CEO 調査によると、サステナビリティの問題は、世界中のビジネスリーダーにとって主要な優先事項として浮上しており、その進展に対するプレッシャーは、取締役会や投資家から最も強く感じられている。本調査では、経営トップがサステナビリティに対して責任を持つようになってきているにもかかわらず、そのほとんどが全社的な戦略の導入の初期段階にとどまっており、目標達成には大きな障壁が残っていることを明らかにした。
調査方法として、「Own your impact: IBM Institute for Business Value (IBV)」 は、オックスフォード・エコノミクスと共同で、40カ国以上、28業種の3,000人以上のCEOにインタビューを行い、さらに数人のCEOに対して深堀りインタビューも実施した。
IBMによると、CEOは、複数の関係者からサステナビリティの課題に取り組むよう、大きなプレッシャーにさらされている。CEOの4分の3近く(72%)が、サステナビリティに関する透明性の向上について「良い」または「非常に良い」と回答し、投資家(57%)と規制当局(49%)からの要求がそれに続いた一方、従業員からはわずか5%、顧客からは12%にとどまった。
ステークホルダーからの圧力に応えるだけでなく、多くのCEOはサステナビリティの取り組みがビジネスに利益をもたらすことを期待している。調査回答者の83%が、サステナビリティへの投資によって今後5年間の業績向上が見込まれると回答し、45%がサステナビリティによってビジネスの成長が加速されると報告している。
上記からわかるように、CEOはサステナビリティを優先事項として受け入れているように見えるが、多くの組織では行動を起こすためのイニシアチブは初期段階にとどまっている。調査対象となったCEOの4分の3近くが、自分の組織はまだ試験的であるか、戦略の一部しか実施していないと回答しており、組織全体でサステナビリティ戦略を実施していると答えたのはわずか23%にすぎなかった。
IBMによると、調査の結果、サステナビリティへの取り組み方の特徴に基づき、CEOが4つのグループに分かれることが判明した。サステナビリティをユニークなビジネスチャンスと捉え、企業の主要な側面を変革するために投資を行っている「変革型CEO」、サステナビリティをビジネス最適化の機会と捉え、業務の改善と効率化に投資を行う「運用型CEO」、サステナビリティの取り組みからほとんど利益を得ないと考え、規制要件を遵守するために投資を行う「準拠型CEO」、サステナビリティに関する投資を全く行っていない「評価中CEO」の4つだ。
【参照ページ】
(原文)IBM Study: Sustainability Ranks Among Highest Priorities on CEO Agendas, Yet Lack of Data Insights Hinders Progress
(日本語訳)IBMの調査:持続可能性はCEOアジェンダの最優先事項の1つであるが、データインサイトの欠如が進歩を妨げている