4月6日、英国政府は新しいエネルギー安全保障戦略を発表した。本発表では、クリーンで安価なエネルギーを拡大しながら、長期的なエネルギーの確保に向けた計画を概説した。本戦略では、再生可能エネルギーと水素の開発を進める一方で、原子力エネルギーの重要な役割を設定し、さらに石油とガスの生産の短期的強化も掲げる。

本戦略は、パンデミック後のエネルギー需要の増加とロシアのウクライナ侵攻による、世界的なエネルギー価格の上昇を踏まえたものである。

本戦略では、原子力発電の大幅な増加を想定し、原子炉の納入を10年に1基ではなく、1年に1基にまで拡大する予定である。また、原子力を「安全、クリーン、信頼できる電源」と呼び、2050年までに電力需要の25%を原子力で賄い、24GWまで到達する計画である。

再生可能エネルギーの導入の拡大も検討され、洋上風力発電は2030年までに最大50GWに達し、そのうち深海に浮かぶ洋上風力発電は最大5GWに達する予定である。その一環として、政府は洋上風力資源開発に関わる業務を省略し、プロジェクトの承認にかかる時間を4年から1年に短縮する。太陽光発電は、現在の14GWから2035年までに5倍まで急増する見込みである。

低炭素水素製造の目標を現在の2倍にし、2030年までに最大10GW、そのうち少なくとも半分はグリーン水素の使用を目標とする。

政府は本戦略を「化石燃料と英国を切り離すために核を為す戦略」と位置付けているが、石油・ガスの増産計画も含まれており、今年後半には北海石油・ガスプロジェクトを開始する予定である。

【参照ページ】
(原文)Major acceleration of homegrown power in Britain’s plan for greater energy independence
(日本語訳)英国、エネルギー自立を促進するため、電力の大幅拡大

関連記事

おすすめ記事

  1. 【最新】TISFDとは?概要・指標から国内外基準との関連まで徹底解説

    2025-9-11

    【最新】TISFDとは?概要・指標から国内外基準との関連まで徹底解説

    気候変動や自然資本など、環境領域に関する開示が進みつつある中、次なるテーマは「社会」の領域。TIS…
  2. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  3. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(後編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…

ピックアップ記事

  1. 2025-11-6

    CDPとTNFD、2025年質問票の対応マッピングを公開

    10月22日、CDPとTNFDは、CDP 2025年版企業質問票とTNFD開示推奨項目・指標との対…
  2. 2025-11-6

    ISSB、国際的なサステナビリティ開示の「グローバル・パスポート」構想を発表

    10月30日、ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)は、ロンドンで開催された「IFRSサステナ…
  3. TNFD・自然移行計画の5つの構成要素と先行事例/実践例の紹介

    2025-11-5

    TNFD・自然移行計画の5つの構成要素と先行事例/実践例の紹介

    ※2025年11月4日公開済みの記事にTNFDが発行した「Nature in transition…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る