国連が支援する「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は、気候変動が人間・生態系・生物多様性に及ぼす影響を評価し、気候変動への適応能力を検証した「IPCC第2作業部会報告書『気候変動2022:影響・適応・脆弱性』」を発表した。
67カ国270人の執筆者によって作成されたこの報告書は、今後数十年の間に気候の危険から生じる深刻な影響を警告し、政策立案者だけでなく、民間企業や投資家にも緊急の適応・緩和行動を呼びかけている。
同報告書によると、世界で30億人以上が気候変動に対して非常に脆弱であり、特にアフリカ・アジア・中南米・小島・北極では、数百万人がすでに深刻な食糧・水不足にさらされていることを指摘している。
今回の報告書は、IPCCが2021年8月に発表した世界の気候システムの現状と気候変動の影響について詳述した報告書に続くものだ。新報告書では、気候変動の原因と影響についてより深く掘り下げ、「より頻繁で激しい異常気象を含む人為的な気候変動は、自然の気候変動を超えて、自然や人々に広範な悪影響と関連する損失や損害を引き起こしている」と指摘する。
IPCCは1.5℃の温暖化に達しただけでも、複数の気候災害が避けられないとし、このレベルを超えると、経済的被害や生物多様性の損失から生命の喪失まで深刻な影響を、場合によっては不可逆的な影響を引き起こすと警告している。
また、適応計画について一定の進展があったことを指摘する一方で、リスクに適切に対処するために必要な行動レベルとの間のギャップを指摘しており、適応策に最も影響する主要な行動分野の一つとして、「自然の保護と強化」を挙げている。IPCCは土地・淡水・海洋の生息地を含む自然システムが、気候変動リスクの軽減と人々の生活の向上に貢献できるとしている。
【参照ページ】
(原文)Climate change: a threat to human wellbeing and health of the planet.
(日本語訳)サステナビリティ団体、IPCC報告書を投資家や企業の気候変動対策強化のための警鐘と評価