9月27日、環境省は2022年3月の国連環境総会(UNEA)の決議を受け、「持続可能な窒素管理に関する行動計画」を策定した。本計画は、食料生産や工業生産などにおいても重要な物質である窒素の過剰使用による環境への影響を軽減させ、持続可能な窒素管理を推進することを目的とする。窒素は主に化学肥料や化学製品の原料として用いられ、大気汚染や水域の富栄養化、地下水汚染など、深刻な環境問題を引き起こしている。さらにアンモニアが二酸化炭素を排出しない燃料として注目され、今後影響が拡大することが考えられる。
日本では、化学肥料の原料をほぼ全量輸入しており、肥料の安定供給や経済・食料安全保障も課題として浮上している。UNEAの2022年の決議では、窒素やリンなどの過剰な栄養素が水、土壌、大気、生物多様性、生態系に悪影響を与えることが指摘され、2030年までに廃棄窒素の大幅な削減が求められていた。これを受けて、日本は2023年から関係省庁や専門家による議論を開始し、行動計画の策定に向けた取り組みを進めてきた。
本計画では、5月に閣議決定された第6次環境基本計画に基づき、持続可能な窒素管理を通じて社会や地域への貢献を目指す。また、日本国内のみならず、アジア諸国における窒素管理にも貢献することを視野に入れている。
【参照ページ】
(原文)「持続可能な窒素管理に関する行動計画」の策定について、持続可能な窒素管理に関する行動計画