10月3日、岸田文雄首相は、都内で開催された国連責任投資原則(PRI)の年次総会に出席し、国内の公的年金7基金がPRIに署名する方向で調整を進めると発表した。7基金の運用規模は計90兆円にのぼる。ESG重視の投資姿勢を国内外に示す意志を表明した。
7基金は地方公務員共済組合連合会、全国市町村職員共済組合連合会、国家公務員共済組合連合会、公立学校共済組合、国民年金基金連合会、私立学校教職員共済、警察共済組合。
岸田首相は、世界中から集まったPRI署名機関の機関投資家を前に「グリーントランスフォーメーション(GX)」「スタートアップ支援」「人的資本」「運用会社強化」からなる4つの政策を語った。
具体的には、GXでは、気候移行債としての国債発行とアジアGXコンソーシアムの発足を表明。スタートアップ支援では、今後5年間で現在の10倍の10兆円規模にし、特にインパクト投資によるインパクト・スタートアップの支援を目指す。人的資本では、リスキルや子育て支援を強化する。運用会社強化では、日本にある533兆円の年金資産や保険を、意義のある形で投資に回していくとした。
PRIによると、署名機関は最も多い米国が1064で、日本は125にとどまる。アジアでは中国が138まで署名数を伸ばし、2022年に日本を抜いた。岸田首相は「所要の環境整備」を行うことで、政府として公的年金の署名を後押しする意向を示した。
【参照ページ】
PRI in Person2023