9月12日、ENEOSとサントリーは、バイオマス資源の有効活用を目指し、国内未活用の廃食油調達における協業を行うと発表した。
現在、国内で排出される事業系廃食油の多くは、飼料やインク原料にリサイクルされているが、一部は利用されずに輸出または廃棄されている。両社は今回の協業において、未活用廃食油のバイオマス資源としての有効活用を推進する。
ENEOSは野村事務所、吉川油脂とともに国内廃食油の安定調達の仕組みの構築を進めている。今回の協業では、サントリーグループで外食事業を担うダイナックと井筒まい泉が参画する。将来的には、サントリーの酒類製品の取引先である約8万店の料飲店ネットワークにおける未活用廃食油の調達を目指す。
料飲店より調達した廃食油は、ENEOSが2026年を目標に事業化を進める持続可能な航空燃料(SAF)の製造プラント(和歌山製油所)で原料として使用する予定である。プラントの生産能力は40万kl/年を想定している。また、SAF製造の過程で同時に得られるバイオナフサからバイオペットボトルを製造し、サントリーの料飲店向けスピリッツ製品等の容器への活用も検討している。これにより、廃食油調達からバイオペットボトルによる製品提供まで、料飲店ネットワークを活用した資源循環の実現を目指す。
ENEOSは、グループ長期ビジョンにて、エネルギー・素材の安定供給を果たしながら、エネルギーのトランジションによって、カーボンニュートラル社会の実現を目指すことを掲げている。その一環として、SAFの原料調達・自社製造・販売まで一貫体制の構築を進めており、SAFの製造に必要となる廃食油や植物油を持続可能な形で確保するため、国内および世界にて、廃食油回収の仕組みの構築や非可食植物に関する検討を行っている。
サントリーグループは、企業理念に「人と自然と響きあい、豊かな生活文化を創造し、『人間の生命(いのち)の輝き』をめざす。」を掲げ、創業以来、持続可能な社会の実現を目指してきた。2019年には「プラスチック基本方針」を策定し、ペットボトルに関しては2030年までに「100%サステナブル化」することを目標にさまざまな取り組みを行っている。