5月25日、エーザイ株式会社は、公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(Global Health Innovative Technology Fund、以下GHIT Fund)による2023年度から2027年度までの第三期(5年間)に対し、合計6.25億円を資金拠出することを決定した。
GHIT Fundは、2013年4月、エーザイをはじめとする日本の製薬企業、日本国政府、ビル&メリンダ・ゲイツ財団等の官民パートナーシップにより設立された基金であり、日本と海外の研究機関の連携を促進し、開発途上国・新興国の感染症に対する新薬創出を推進している。エーザイは、GHIT Fundの第一期(2013-2017年度)および第二期(2018-2022年度)において合計10億円の資金拠出をしてきた。
開発途上国や新興国で多くの人々を苦しめている顧みられない熱帯病(NTDs)やマラリアなどの感染症分野の新薬開発には、疾患特有の開発の困難さや市場性といった課題があることに加え、現地における供給体制、診断や治療へのアクセス確保も必要とされ、セクターを超えた産官学パートナーシップによる取り組みが必須となっている。
エーザイは、グローバルな医薬品アクセスの課題解決への取り組みを同社の使命と考え、GHIT Fundの支援を受けて、政府や国際機関、非営利民間団体等との官民パートナーシップのもと、マイセトーマ(菌腫)やマラリア等に対する23の新薬・ワクチン開発プロジェクトを進めてきた。マイセトーマに対する新薬開発では、独立非営利財団DNDi(Drugs for Neglected Disease initiative)とのパートナーシップにより、自社創製のE1224(一般名:ホスラブコナゾール)に関する臨床第Ⅱ相試験をスーダンで実施した。また、抗マラリア薬の候補化合物であるSJ733について、ケンタッキー大学と協働し、臨床第II相試験を実施している。
顧みられない熱帯病やマラリア制圧などの医薬品アクセス向上への取り組みは、エーザイの企業理念である「ヒューマン・ヘルスケア(hhc)」に基づく長期的な企業価値創造と社会的インパクト創出をめざす活動である。同社は、引き続きグローバルパートナーとの連携を強化し、顧みられない熱帯病の感染リスクにある人々や疾患に苦しんでいる人々の「健康憂慮の解消」と「医療較差の是正」に貢献すると述べている。
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顧みられない熱帯病およびマラリアの新薬開発に向けた取り組みとグローバルヘルス技術振興基金第三期への資金拠出