12月15日、金融庁は「ESG評価・データ提供機関に係る行動規範」を確定し、第15回サステナブルファイナンス有識者会議において公表した。
本行動規範は、サステナブルファイナンスが世界的に拡大する中で、企業の ESGに関する取組み状況やグリーンボンド等の ESG 関連債や ESG に関連した融資の適格性等について情報を収集・提供し、評価を行う「ESG 評価・データ提供機関」の役割が増大していることを受けたものである。
本行動規範は、プリンシプルベースアプローチのもと、受入れ機関において、規範の諸原則・指針を実施するか、実施しない場合には、それぞれの原則・指針を実施しない理由を説明するいわゆる「コンプライ・オア・エクスプレイン」の手法がとられる。
規範の諸原則を実施する場合は、読み手にとって原則及び指針の項目ごとの具体的な遵守状況が理解できるよう、分かりやすい説明を行うことが重要である。行動規範に受入れ表明を行った場合であっても、全ての原則・指針を一律に実施しなければならないものではないが、実施しない場合の説明については、評価を利用する投資家等や評価を受ける企業の幅広い理解が得られるよう、原則及び指針の項目ごとの遵守状況と実施しない理由が理解出来る分かりやすい説明が必要となる。
本行動規範における原則は以下の通りである。
- 原則1(品質の確保):ESG評価・データ提供機関は、提供する ESG評価・データの品質を確保するべきであり、このために必要な基本的手続き等を定めるべきである
- 原則2(人材の育成):ESG評価・データ提供機関は、自らが提供する評価・データ提供サービスの品質を確保するために必要な専門人材等を確保し、また、自社において、専門的能力の育成等を図るべきである
- 原則3(独立性の確保・利益相反の管理):ESG 評価・データ提供機関は、独立して意思決定を行い、自らの組織・オーナーシップ、事業、投資や資金調達、その他役職員の報酬等から生じ得る利益相反に適切に対処できるよう、実効的な方針を定めるべきである。利益相反については、自ら、業務の独立性・客観性・中立性を損なう可能性のある業務・場面を特定し、潜在的な利益相反を回避し、又はリスクを適切に管理・低減するべきである
- 原則4(透明性の確保):ESG評価・データ提供機関は、透明性の確保を本質的かつ優先的な課題と認識して、評価等の目的・考え方・基本的方法論等、サービス提供に当たっての哲学を一般に明らかにするべきである。また、提供するサービスの策定方法・プロセス等について、十分な開示を行うべきである
- 原則5(守秘義務):ESG評価・データ提供機関は、業務に際して非公開情報を取得する場合には、これを適切に保護するための方針・手続きを定めるべきである
- 原則6(企業とのコミュニケーション):ESG 評価・データ提供機関は、企業からの情報収集が評価機関・企業双方にとって効率的となり、また必要な情報が十分に得られるよう、工夫・改善すべきである。評価等の対象企業から開示される評価等の情報源に重要又は合理的な問題提起があった場合には、ESG 評価・データ提供機関は、これに適切に対処すべきである
加えて同規範には、ESG評価機関のステークホルダーとなる投資家と企業に対する「提言」も記載されている。
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【参照ページ】
ESG 評価・データ提供機関に係る行動規範