2月3日、金融庁は「ESG評価・データ提供機関等に係る専門分科会」を設置すると公表し、2月7日に第1回の会合を開催した。
同専門分科会の座長は青山学院大学名誉教授・東京都立大学特任教授の北川哲雄氏が務める。また、野村證券金融工学研究センター長の太田洋子氏、三井住友銀行経営企画部上席推進役の島健治氏、りそなアセットマネジメントの執行役員責任投資部長の松原稔氏、ニッセイアセットマネジメントのチーフ・アナリストの林寿和氏らメンバーとなっている。オブザーバーは、経済産業省と環境省で、事務局は金融庁総合政策局総合政策課が務める。
有識者会議報告書では、「ESG評価・データ提供機関」について、「ESG評価とデータの重要度が増す中、評価とデータ提供を行う機関に対し、評価される企業側やデータを利用する投資家・金融機関側より、いくつか課題も指摘されている」として、以下の4つの課題を具体的に示した。
(1)ESG評価・データ提供機関によって、評価やデータ補完の基準・手法が異なっている中、その詳細や設定の意図等が開示されていなければ、それぞれの評価結果が異なる理由が分からないなど、評価の透明性と公平性に課題がある。
(2)評価基準等について客観的な基準が非公開な中、企業評価やグリーンボンド等の外部評価を行う一方で、同じ企業に対して有償でコンサルティングサービスを提供するなど、利益相反が懸念されるケースがあるなどガバナンスと中立性に課題がある。
(3)要求されるべき評価能力、適正な人員、ガバナンス態勢等が客観的に担保されていないなど人材の登用に課題がある。
(4)多くの評価機関から評価内容等の確認を求められることの事務負担の大きさなど企業視点での課題がある。
有識者会議報告書の中では、個人に対するESG関連の投資機会の提供について、国内において「ESGファンド」への資金流入が活発化していることを評価しつつも、「どのような基準に基づき『ESG』や『SDGs』という名称を付すかについては、現在各社の裁量に委ねられており、ESG関連投資信託の銘柄選定基準は、個々の運用会社や商品によって異なっている」と指摘している。
また、投資信託に「ESG」や「SDGs 」等の名称をつける際、その商品の特性に関して顧客が誤認することを防ぐため、指標等を用いた明確な説明を求めている。加えて、インパクト投資商品についても具体的な指標を用いることや説明の必要性が強調している。