11月22日、マツダ株式会社は、中期経営計画のアップデートと2030年に向けた経営の基本方針を発表した。各国の環境規制動向、地政学リスクの高まり、CASEに代表される先進技術の飛躍的な発展など、経営を取り巻く環境は大きく変化していることを踏まえ、経営の基本方針を掲げた。
2030年に向けた経営の基本方針として、マツダは、地球と社会に責任を持って事業活動を行っていくことを企業として重要な使命と考え、「ひと中心」の思想のもと、人を研究し続けるという。心も身体も活性化されるものづくり、つながりづくり、ひとづくりをおこなうため、以下の3つを掲げた。
- 地域特性と環境ニーズに適した電動化戦略で、地球温暖化抑制という社会課題の解決に貢献する。
- 人を深く知り、人とクルマの関係性を解き明かす研究を進め、安全・安心なクルマ社会の実現に貢献する。
- ブランド価値経営を貫き、マツダらしい独自価値をご提供し、お客さまに支持され続ける。
また、主要な取り組みとして、共創・共生による「人と共に創る」という考えのもと、幅広いパートナーと協業を進めるとともに独自価値を磨き、大きな環境変化に対応していく。特にその源泉となる人への投資を進めていくという。
1. カーボンニュートラルに向けた取り組み
2050年のカーボンニュートラルに向け、2035年にグローバル自社工場のカーボンニュートラルを中間目標に掲げ、省エネ、再エネ、カーボンニュートラル燃料の活用の3本柱で取り組みを進めていく。地域にお住まいの皆さまや地域社会と共生しながら、持続可能な循環型社会の実現に貢献していく。
2. 電動化戦略
2030年までを3つのフェーズに分け、柔軟に電動化に対応していく。第1フェーズでは、既存資産であるマルチ電動化技術を活用し、魅力的な商品と環境負荷の低減を両立していく。第2フェーズでは、新しいハイブリッドシステムを導入するとともに、電動化が先行する中国市場において、EV専用車を導入するほか、グローバルにバッテリーEVの導入を開始する。第3フェーズでは、バッテリーEV専用車の本格導入を進めるとともに、電池生産への投資などを視野に入れていく。なお、2030年時点のグローバル販売におけるEV比率は、25%から40%を想定している。
3. 人とITの共創によるマツダ独自の価値創造
人を深く研究し、人体や脳のメカニズムを理解・モデル化することで、高度運転支援技術の開発を加速させ、2040年を目途に自動車技術で対策可能なものについて、自社の新車が原因となる「死亡事故ゼロ」を目指す。また、AIやITを使いこなせるデジタル人材への投資を進めていく。
4. 原価低減活動とサプライチェーンの強靭化
バリューチェーンとサプライチェーン全体を鳥瞰し、ムダ・ムラ・ムリを徹底的に取り除く取り組みを通じて、原価の作りこみを行い、原価低減力と減産抵抗力を強化していく。
マツダは2030年に向け、「ひと中心」の思想のもと人を研究し続け、人々の日常や移動することの感動体験を創造し、誰もが活き活きと暮らす「愉しさ」と「生きる歓び」を届けていくことを目指していくという。