10月11日、大日本印刷株式会社(DNP)は、富士特殊紙業株式会社、有限会社クレエなどと共同で、プラスチックの使用量や製造時の温室効果ガスの排出量を削減するとともに、分別廃棄可能な、リサイクル性を高めた環境配慮型紙製ボトル「ēfbottle」(商標出願中)の開発を開始すると発表した。
「ēfbottle」のēfは、製品開発で目指した「環境にやさしい/Eco-Friendly」「地球にやさしい/Earth-Friendly」「排出ゼロ/Emission-Free」というキーワードと、共同プロジェクトの理念である「持続可能な新時代(Epoch)に向けて、各ステークホルダーが融合(Fusion)することで社会課題を解決する。」の頭文字に由来する。
脱炭素社会・循環型社会の実現に向けて、温室効果ガスの排出量と吸収量・除去量を均衡させるカーボンニュートラルや、リサイクル等による再資源化の取り組みなどが国内外で加速する中、日本政府も2022年4月に「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」を施行するなど、プラスチックの使用量削減やリサイクルを推奨し、使用済みプラスチックの資源循環を推進している。その中で、生活者の身近な容器包装については、原材料から製造・使用・廃棄・再利用までのサプライチェーン全体で環境負荷の低減を進めることと、使いやすさや機能性などの付加価値の提供が同時に求められている。
こうした状況を受け、DNPは同じ志を持つ企業とともに、「ēfbottle」の開発に至った。紙とフィルムパウチを組み合わせることで、ガラス瓶やPETボトルよりも環境負荷を低減するとともに、生活者にとってより使いやすく・親しみやすいボトルの実現を目指す。各社の強みを掛け合わせて新しい価値を創出し、より持続可能な、より良い生活の実現に取り組んでいくという。
本製品の特長としては以下の3つが挙げられる。
1.循環型社会の実現に向けて資源循環に貢献
本製品は、①使用環境を考慮した耐水紙の「外装」と、②長期保存が可能な「口栓付きパウチ」で構成されている。①を紙素材、②をプラスチック素材にすることで、分別廃棄が可能な、リサイクルしやすい構造とした。また、②の口栓付パウチをモノマテリアル(単一素材)で製造することで、プラスチック素材のリサイクル性を向上させます。PETボトルと比較して、約30%のプラスチックの使用量削減が可能となった。
2.脱炭素社会の実現に向けてGHG排出量の削減に貢献
ガラス瓶の製造時と比べて、「ēfbottle」製造時のエネルギー消費量とGHG排出量が削減できる。また、ガラス瓶と比べて大幅に軽量化できるため、製品輸送時の車両等からのGHG排出量削減にもつながる。
3.生活者と飲料各社とのコミュニケーションの向上に貢献
紙製でありながらガラス瓶特有の曲線的な形状を実現するとともに、ボトル全面に印刷できるため、店頭で生活者の目を惹く“アイキャッチ効果”の向上につながる。また、デジタル技術を活かした印刷によって生活者一人ひとりの情報を表示するバリアブル商品やオリジナルデザインのボトルなど、生活者と企業のコミュニケーションの活性化をはじめ、さまざまな用途で活用できる。軽くて持ちやすく、環境に配慮した製品という強みを活かし、環境に対する意識が高い若い世代をはじめ、あらゆる性別・年齢・嗜好の生活者に選ばれる“新時代の容器”を目指す。
今後の展望として、DNPは各社と連携し、「ēfbottle」の開発をさらに進め、日本酒や洋酒等の業界に向けた実証実験を2023年春頃に行う予定である。本プロジェクトでは、環境負荷の低減、生活者の利便性向上に向けた共同開発に、継続的に取り組んでいく。