CSDDDの実践を説明。日本企業への影響やデューデリジェンス手順とは。

CSDDDの実践を説明。日本企業への影響やデューデリジェンス手順とは。

欧州ではサステナビリティへの企業の取り組みへの期待が高まっている。2024年4月に、欧州議会の本会議で欧州コーポレート・サステナビリティ・デュー・ディリジェンス指令(Corporate Sustainability Due DiligenceDirective:以下、CSDDD)が採択され、5月24日には修正案が可決している。ここでは、日本企業への影響と取り組む際のステップを紹介する。

CSDDD概要

CSDDDとは

企業が、自社の活動が与える「環境」「人権」への影響を特定し、予防や対応もしくは緩和するための調査(デューデリジェンス)実施を義務付けたものが、主なCSDDDのポイントである。また、CSDDDでは、デューデリジェンスの実施だけでなく、リスクの特定、評価、予防、緩和、モニタリング、報告、ステークホルダーとのエンゲージメント、および救済措置の設定についても詳細に定めている。

CSDDDが発効されたことで、EUに進出する企業は自社だけでなく、直接的または間接的なバリュー チェーン(サプライチェーン)における子会社や取引先の活動についても調査(デューデリジェンス)が必要になる。
また、人権だけではなく気候変動や生物多様性といった環境に対するデューデリジェンスが含まれている点が特徴的だ。気候変動への対応を規定する制度は他にも(ESRS,SFRDなど)多くあるため、整合をはかりながら「実践」と「開示」をわけてそれぞれのガイドラインを参照するとよいだろう。

実際にどのようにCSDDDを進めていくのか。EU内に子会社がある、もしくは事業展開しているが、自社は対象にあたるのか、具体的に説明していこう。

CSDDD対象企業

CSDDDの対象となる企業と適用開始時期は、以下のとおりである。採択の過程において、加盟国からの反対があったため、対象となる範囲の下記のとおり企業は狭められている。


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執筆者紹介

竹内 愛子 (ESG Journal 専属ライター)
大手会計事務所にてサステナビリティ推進や統合報告書作成にかかわるアドバイザリー業務に従事を経て、WEBディレクションや企画・サステナビリティ関連記事の執筆に転身。アジアの国際関係学に関する修士号を取得、タイタマサート大学留学。専門はアジア地域での持続可能な発展に関する開発経済学。

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