投資大手のブラックロックは、ネット・ゼロ・エコノミーへの世界的な移行を加速させるために、途上国市場の気候インフラへの投資を対象とした「クライメイト・ファイナンス・パートナーシップ」が6億7300万ドル(約770億円)を調達したことを発表した。
2018年にニューヨークで開催された「ワンプラネット・サミット」で設立された「クライメイト・ファイナンス・パートナーシップ(CFP)」は、ブラックロックとフランス、ドイツ、日本の各政府、および多数の主要なインパクト・オーガニゼーションが参加する官民金融パートナーシップで、新興市場での気候関連投資への資金流入を加速させることを目的としている。
ブラックロックによると、今回の資金調達には、政府、慈善団体、機関投資家など22の投資家からなるグローバルコンソーシアムが参加し、当初の目標額である5億ドルを大幅に上回った。
CFPの投資対象は、系統連系・分散型の再生可能エネルギー発電、住宅・商業・産業分野のエネルギー効率化、送電・蓄電ソリューション、超低排出ガス・電動化された交通・モビリティサービスなど、気候インフラ分野の主要な分野になる。このファンドは、今後数十年にわたって電力需要の大幅な増加、都市化、経済発展が見込まれるアジア、ラテンアメリカ、アフリカの非OECD諸国を対象としている。
今回の発表は、ブラックロック・インベストメント・インスティテュート(BII)が先日発表したレポートを受けたもので、気候変動の影響を抑えるための世界的な取り組みの目標達成に向けた重要な障壁の一つを緩和するために、ネット・ゼロ・エミッションへの移行に必要な資金を調達するために、新興市場への資本の動員を大幅に強化する必要があることを強調している。BIIによると、現在、世界の炭素排出量の34%(中国を除く)を占める新興市場が、2050年までにネット・ゼロ・エミッションを達成するためには、少なくとも年間1兆ドルの投資が必要になります。これは、現在の投資水準の6倍に相当する。
また、ブラックロックの会長兼CEOであるラリー・フィンクは、ニューヨーク・タイムズ紙に意見書を寄稿し、世界的な気候危機に対処するために、先進国市場の政府に対して、新興国市場の移行投資に対する公的資金の支援を強化するよう求めている。
【参照ページ】
(参考記事)BlackRock raises $673 mln for climate-focused infrastructure fund
(日本語訳)BlackRock、約770億円の気候変動対策資金調達を主導、新興国のインフラ投資を狙う