
4月22日、米マイアミ発のクライメートテック企業エクソワットは、次世代型再生可能エネルギー製品の量産・展開に向け、シリーズAラウンドで7,000万ドル(約107億円)の資金調達の実施を発表した。
今回の資金調達は、シリコンバレーのベンチャーキャピタルFelicisが主導し、7,000万ドルのうち3,500万ドルはHSBC Innovation Bankingなどによる融資、残り3,500万ドルはエクイティによるものとなった。既存投資家のアンドリーセン・ホロウィッツやアトミックに加え、8090インダストリーズ、スターウッド・キャピタル、スライブ・キャピタル、MCJコレクティブ、MVPベンチャーズ、GOAT VC、ステップストーン・グループなど新たな投資家も参加した。エクソワットは2023年に設立され、これまでの累計調達額は9,000万ドルに達した。
AIやデータセンターの拡大により、電力需要は2030年までに150%増加すると予測されている。しかし、従来の発電方法ではこの需要を十分に賄うことが難しく、太陽光や風力といった再生可能エネルギーも天候に左右されるため安定供給が課題となっている。エクソワットが開発した主力製品「エクソワットP3」は、コンテナサイズのモジュールで、太陽エネルギーを熱として長時間蓄え、必要に応じて電力に変換する仕組みを持つ。これにより、1日最大24時間の電力供給が可能となり、データセンターや産業用途における再生可能エネルギーの安定利用を実現する。
エクソワットによると、P3は2024年末の市場投入以降、全米各地で複数の商用導入が予定されており、既に90ギガワット時を超える受注残を抱えているという。今回の資金調達により、同社は製品の商用化と製造能力の拡大を加速し、急増する顧客の電力需要に対応する方針だ。
米国では、トランプ政権がデータセンターとAI市場の拡大を国家戦略と位置付け、「プロジェクト・スターゲート」を始動させている。エクソワットは、今回の資金を活用し、米国内で製造した製品を供給することで、データセンターの電力供給と米国のエネルギー自立目標の達成に貢献したい考えだ。
Felicisの創業者でマネージングパートナーのアイディン・センカット氏は「AIデータセンターの電力消費が急増する中、持続可能でアクセスしやすい新たな米国のエネルギーサプライチェーンが急務だ。エクソワットの技術は、今後の電力供給の在り方を変え、全米のエネルギー効率向上に寄与するだろう」とコメントしている。
AI時代の電力問題解決に向け、エクソワットの今後の動向が注目される。
(原文)Exowatt secures $70M Series A to solve a big AI problem: power
(日本語参考訳)エグゾワットが7000万ドルのシリーズAを獲得、AIが抱える電力問題を解決へ