ISSB×SASBスタンダード改訂:実務対応の整理とステップガイド

2025年7月に公表されたSASBスタンダードの改訂案は、IFRS S2の産業別ガイダンスと連動する形で、今後のサステナビリティ開示の実務に大きな影響を与える。既にSASB対照表を活用している企業にとっては、今回の改訂は既存開示の棚卸と見直しの好機であり、これから対応を進める企業にとっては、戦略的なサステナビリティ情報開示の整備の出発点となる。

本記事では、SASBスタンダードの改訂内容の概要とともに、現行の開示をどのようにアップデートすべきか、その具体的なステップをわかりやすいチェックポイント付の「実務ガイド形式」で紹介する。

SASBスタンダードとは

SASB(Sustainability Accounting Standards Board)は、財務への影響に焦点を当てたサステナビリティ情報開示基準を策定しており、77業種別のスタンダードを提供している。
現在、SASBはIFRS財団のISSB(International Sustainability Standards Board)傘下にあり、IFRS S1およびS2の実務適用を支援する参考資料として活用されている。また、日本でも、SSBJの開示基準において、SASBスタンダードを参照することが求められている。なお、多くの企業がこれまでにSASB対照表などによる開示を行っており、サステナビリティ開示における代表的な取り組みのひとつになりつつあるだろう。

SASBスタンダードの改訂とISSB(IFRS S2)の関係

2025年7月、ISSBは、SASBスタンダードの改訂案(Exposure Draft)を公表した。本改訂は、サステナビリティ関連財務情報の国際的整合性を高めることを目的としており、IFRS S2「気候関連開示」においては、産業別ガイダンスとしてSASBの気候関連項目が明示的に組み込まれている。


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執筆者紹介

竹内 愛子 (ESG Journal 専属ライター)
大手会計事務所にてサステナビリティ推進や統合報告書作成にかかわるアドバイザリー業務に従事を経て、WEBディレクションや企画・サステナビリティ関連記事の執筆に転身。アジアの国際関係学に関する修士号を取得、タイタマサート大学留学。専門はアジア地域での持続可能な発展に関する開発経済学。

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