10月25日、コロンビア・カリで開催されたCOP16にて、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)は、TNFDフレームワークに沿ったリスク管理と報告を行う企業や金融機関が500社を超えたと発表した。2024年1月から57%増加し、計502社に達したことになる。これには、自然と生物多様性の保全を企業戦略に取り入れることが市場全体で高まっていることが反映されている。
本取り組みは、生物多様性グローバル・フレームワーク(GBF)と一致しており、自然関連のリスク管理や報告の標準化を目指すものである。2024年6月にロンドンで開催された「ロンドン気候行動週間」以降も、さらに8%の増加が見られ、現在では129の金融機関が17.7兆米ドルの資産をTNFDフレームワークの下で管理している。
英運用abrdnや加マニュライフ・インベストメント・マネジメント、KPMGなどの金融・専門サービス企業、ならびに米鉱業フリーポート・マクモラン、豪カンタス航空、英小売セインズベリーといった多業種の企業が新たにTNFDフレームワークの採用を発表。これにより、自然リスクと持続可能性の管理を、環境・社会・ガバナンス(ESG)全体の枠組みに統合し、持続可能な経済システムへの貢献が期待されている。
abrdnのサラ・ムーディ氏は、「気候と自然の相互関係をサステナビリティ戦略の柱にし、特に自然への影響が大きい企業とのエンゲージメントを通じたデータ収集を進める」と述べ、KPMGのジョン・マッカラ・リーシー氏も「生物多様性リスクへの統合的なアプローチが不可欠である」とし、TNFDの採用が自社の持続可能なビジネス実現に資するとコメントした。
企業と金融機関の取り組みが生む未来
TNFD共同議長のデビッド・クレイグ氏は、導入の急速な進展に触れ、「自然がビジネスのリスクであり、競争優位性の源泉であると認識されている」と強調。今後、こうしたリスク管理と開示の枠組みにより、持続可能でレジリエントなビジネスモデルの普及と資金の流れの変化が期待される。