CDP、新たなレポートにてIOSCO勧告の浸透度と各国の政策動向を分析
8月28日、CDPが新たなレポートを発表した。このレポートでは、規制当局が採用した様々なイニシアティブを概観している。また、IOSCO(証券監督者国際機構)の勧告がどの程度政策のイニシアティブに反映されているかを評価し、その整合性を比較している。
IOSCOが2021年に発表した報告書に基づき、6つの国・地域がその勧告を政策イニシアティブに反映させるための取り組みを行ってきた。日本・香港・シンガポール・英国はまず行動規範を導入し、その後数年で規制を検討する可能性を示した。一方、インドとEUは段階的なアプローチを取らず、すぐに規制の枠組みを導入した。
報告書の分析によれば、IOSCOが行った10の勧告のうち8つが、これらの国・地域の政策に統合されている。これらの勧告は、国・地域間の整合性を示す形で政策立案者によって採用されています。しかし、インドのSEBI(インド証券取引委員会)は方法論的要件に対して異なるアプローチを取っており、EUの規制や他の行動規範にも微妙な違いが見られるという。多くの場合、格付け・スコアリングとコンサルティング活動の分離など、追加的な要件が導入されている。
ESG格付けやデータ商品の提供に関する政策的イニシアティブを導入しているのは6カ国のみであり、他の政府もいずれ追随することが予想される。また、日本・シンガポール・英国が発表したように、自主的な行動規範が導入された場合には、将来的に規制が導入されることも予想される。
当レポートでは政策立案者に対していくつかの提言が行われている。まず、IOSCOの勧告との整合性を維持することである。これは、ESG格付けやデータ商品の利用者のデューデリジェンス・プロセスを容易にし、コンプライアンスを達成するためのコストと複雑さを軽減し、これらのイニシアティブの相互運用性を確保するために極めて重要である。
また、政策立案者はESG格付けやデータ商品の定義について、各社で整合性を図る必要がある。IOSCOの定義をベースにし、政策立案者は「ESGスコア」「ESGオピニオン」「defined ranking system」などの用語を明確に定義することが求められる。これにより、市場の混乱を減らし、適切で意図された商品のみが行動規範や規制枠組みに適用されるようになる。
さらに、相互運用システムの構築の検討も提言されている。これにより、ESG格付けやデータ商品のプロバイダーの行動規範や規制フレームワークへの準拠を一度に示すことができ、コンプライアンス・コストの削減と効率性の向上が期待される。
【参照ページ】
(原文)Tracking Progress -Taking stock of ESG ratings and data products regulations-