EU理事会、規模を縮小した環境と人権の持続可能性に関するデュー・ディリジェンス法を承認

3月15日、EU加盟国は、欧州理事会において、人権や環境への悪影響に対処する義務を企業に課す重要な法案について合意に達したと発表した。

しかし、この妥協案は先月、ドイツやイタリアを含む国々からの反対を受け、理事会での承認に至らなかった企業持続可能性デューデリジェンス指令(CSDDD)を救うことになるかもしれない。

欧州委員会は、2020年に取締役の義務や持続可能なコーポレート・ガバナンス、サプライチェーンにおけるデューデリジェンス要件について検討を開始し、2022年2月に欧州委員会が提案したCSDDD草案に至るまで、4年間にわたり規制の推進に取り組んできた。

理事会は2022年末に指令に関する見解を採択し、2023年12月に議会とCSDDDに関する合意に達したが、ドイツがこの規制が企業に与える官僚的・潜在的な法的影響を懸念して支持しないと脅したため、理事会での承認に関する採決は1月に延期され、その後イタリアも支持を撤回したと報じられたため、さらに疑問が生じた、 2月下旬には、フランスが新ルールの適用範囲をEUの大企業のみに大幅に縮小しようと土壇場まで努力した結果、結局、可決には至らず、ベルギーの理事会議長国はこの数週間、新法を推進するのに十分な加盟国の支持を得るための妥協点を見出そうと奔走することになった。

理事会での最も重要な妥協点のひとつは、新法の対象となる企業の基準値を500人から1000人に、売上高を1億5000万ユーロ(約246億円)から4億5000万ユーロ(約740億円)以上に引き上げることで、企業数を大幅に縮小することである。新しい基準値により、CSDDDの対象となる企業数はおよそ3分の2に削減される。また、リスクの高いセクターに対して設けられていた低いしきい値も撤廃されたが、後に再検討される可能性もある。

12月に議会と合意した文書と比較したCSDDDの追加変更点としては、発効から5年後に対象企業全てに完全実施されるよう段階的に法規制を導入すること、製品廃棄活動を法規制の対象から除外すること、企業が財政的インセンティブを通じて気候変動計画の実施を促進することを義務付けることを削除することなどが挙げられる。

理事会での合意により、CSDDDは、理事会での事前合意から大幅に変更されたにもかかわらず、承認妥協案を検討するため、EU議会に戻されることになった。修正されたCSDDDはまず議会の法務委員会にかけられ、4月の本会議で最終投票が行われることになる。

【参照ページ】
(原文)EU COUNCIL WATERS DOWN CORPORATE SUSTAINABILITY DUE DILIGENCE DIRECTIVE (CS3D)
(日本語参考訳)EU理事会、企業持続可能性デュー・ディリジェンス指令(CS3D)に水を差す

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