1月11日、経済協力開発機構(OECD)は、2024年版の対日経済審査報告書を公表した。緩やかな政策金利の引き上げと財政のサステナビリティについて提言した。
対日経済審査報告書の公表は2021年12月以来。2024年と2025年の消費者物価上昇率に関しては、総合および食品・エネルギーを除く指数が約2%、賃金の伸びも勢いを増すと予測した。
一方、日本は感染症のパンデミックとエネルギーショックに対する財政支援で、公的債務残高は2022年にGDPの約245%という前例のない水準に増加したと指摘。これらに関連する支援を段階的に廃止し、財政赤字を削減すべきだと提言した。政府債務残高比率の低下及び基礎的財政黒字の達成に向け、明確で信頼できるロードマップを綿密に作成すべきとした。また、医療・介護改革やスタートアップによるイノベーションの拡大にも言及している。
グリーントランジションについては、CO2排出量の削減とグリーンエネルギーの拡大は見られるものの、日本が2050年までにカーボンニュートラルを実現することは困難と指摘。費用対効果の低い革新的技術や原子力発電による排出削減への貢献には不確実性が伴うことから、再生可能エネルギーにより力を入れるべきとした。
労働市場改革に関しては、女性と高齢者の労働力参加をさらに増やすべきと指摘。特に労働力不足が著しい分野において、有能な外国人労働者を呼び込むための一層の努力が必要とした。
【参照ページ】
Japan needs to rebuild fiscal space, address population ageing and reinvigorate productivity growth