11月15日、JPモルガン・チェースは、石油・ガス、電力、自動車製造など、炭素集約的な3つのセクターの排出削減目標の更新を発表した。
この更新目標は、2023年気候報告書の発表と同時に発表された。新たに2つのセクターの2050年ネット・ゼロ目標、スコープ3の「エネルギー・ミックス」目標、目標が設定されたセクターのファイナンス排出量に関する初めての開示が含まれている。
通常、金融機関の気候変動への影響の大部分を占めるのは融資活動であり、融資による排出量は運用による排出量の数倍に上ることが多い。新目標は、2020年10月に発表された、金融活動をパリ協定の目標に合致させ、低炭素世界への移行がもたらす長期的な経済的・環境的便益を顧客が享受できるよう支援するというコミットメントの一環である。
JPモルガンは、2021年に、石油・ガス、電力、自動車製造の各セクターについて、2030年における最初の中間的な排出削減目標を設定した。各セクターで発表された目標は、パリ協定と整合的な国際エネルギー機関の持続可能な開発シナリオに沿ったもので、2070年までにネット・ゼロ・エミッションを達成することを目標としている。
JPモルガンは報告書の中で、IEAのNZEに沿った2030年のセクター目標を新たに2つ紹介した。その中には、アルミニウム生産の排出原単位を25%削減する目標と、海運セクターの「タンク・トゥ・ウェイク」排出量を33%削減する目標が含まれる。同行は昨年、航空、鉄鋼、セメントセクターのNZEに沿った目標を導入した。
JPモルガンは、新目標と改訂目標に加え、石油・ガス部門の目標を変更し、従来の「石油・ガス最終使用量」目標から、新たに「エネルギーミックス」目標に拡大することを発表した。新目標はまた、より野心的なIEA NZEシナリオに沿ったもので、新カテゴリーでは2030年までに排出原単位を36%削減することを目指している。
本報告書には、JP モルガンが目標を設定したセクターの資金調達による絶対排出量も初めて開示されており、融資業務と資本市場業務の両方の排出量も含まれている。この開示で明らかになったのは、JPモルガンのスコープ3のフットプリントの大部分を占めるのは、新たに設定された「エネルギーミックス」のカテゴリーであり、融資による絶対排出量は1億7950万トンCO2eで、2位の「電力」の3420万トンCO2eを大きく引き離している。