EPA、除草剤使用から絶滅危惧種を保護するための戦略案を発表

7月24日、米国環境保護庁(EPA)は、従来の農業用除草剤から連邦の絶滅危惧種および絶滅危惧種(リスト)を保護するための取り組みにおける大きな節目となる「除草剤戦略(草案)」を発表し、パブリックコメントを求めた。同戦略は絶滅危惧種保護法(ESA)に基づき、生物多様性観点から除草剤の使用制限を強化するもの。900種以上の上場種および指定された重要生息地について、これらの除草剤の農業使用による潜在的な影響を軽減し、継続的な利用可能性を確保するための、早期の緩和策案が記載されている。

本戦略は下位48州の農作物用途に焦点を当てており、EPAはその理由を毎年数億ポンドの除草剤(および植物成長調整剤)が散布されており、これは除草剤の非農業用途や他の農薬クラス(殺虫剤、殺菌剤など)よりも大幅に多いためと説明。さらに、48州下位に生息する数百の指定種が、農業地域に隣接した生息地に生息しているとも指摘した。本戦略で提案されている緩和策は、従来の農業用除草剤がこれらの指定種に影響を与える最も一般的な方法に対処するものである。

EPAは本戦略により、合衆国魚類野生生物局(FWS)との、除草剤に関する将来のESA協議が効率化されることを期待している。本戦略の下、EPAは、ESA協議を完了する前であっても潜在的な影響を特定し、その緩和策を開始することを提案した。早期の影響緩和は、ESAを完全に遵守する能力を促進し、ESA協議における資源をはるかに効率的に利用できるようになる。

本戦略が提案する影響緩和策には、生産者が容易に実施でき、農薬散布業者が特定できる方法が反映されており、生産者が最も効果的な影響緩和策を柔軟に選択できるようになっている。本戦略はまた、農薬の流出を削減するために特定の対策をすでに実施している土地所有者を評価している。例えば、既存の植生溝や保水池は、追加緩和の必要性を減らすクレジットの対象となる。さらに、新しい技術や特定の農薬散布の有効性に関する新しい情報を取り入れるために、将来的に農薬散布の選択肢に他の農薬散布を追加する可能性についても述べている。

【参照ページ】
(原文)EPA Releases Draft Strategy to Better Protect Endangered Species from Herbicide Use
(日本語訳)EPA、除草剤使用から絶滅危惧種をよりよく保護するための戦略案を発表

関連記事

“イベントへのリンク"

おすすめ記事

  1. 2024-4-16

    SSBJ公開草案の重要ポイント解説:今後の気候変動の情報開示はどう動くか

    2024年3月29日、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)が国内のサステナビリティ開示基準の草案…
  2. 2024-4-9

    SBTN(Science-Based Targets for Nature)とは。企業のネイチャーポジティブ経営を実現する目標設定の方法論を解説。

    TNFDのフレームワークが公開され、先進企業ではフレームワークに基づく情報開示が進みつつある(20…
  3. 2024-4-2

    【さくっと読める】TNFDの開示とは。重要ポイントを抽出。

    2023年9月、TNFDのフレームワークが完成し公開された。2023年時点でTNFDに基づく開示を…

ピックアップ記事

  1. 2024-5-2

    環境NGO、MUFG、SMFG、みずほFG、中部電力に気候変動株主提案を再提出

    4月15日、環境NGOの3団体は、MUFG、SMFG、みずほFG、中部電力の4社に対し、気候変動株…
  2. MUFG

    2024-4-30

    MUFG、サステナブルファイナンス目標を100兆円に引き上げ

    4月1日、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、サステナブルファイナンスの実行額目標を…
  3. 2024-4-30

    経産省とJPX、SX銘柄2024として15社を選定

    4月23日、経済産業省と東京証券取引所(JPX)はサステナビリティ・トランスフォーメーション(SX…
ページ上部へ戻る