世界経済フォーラム、航空業界のカーボンニュートラルを目指す新イニシアティブを発足
6月27日、世界経済フォーラム(WEF)と国際空港評議会(ACI)は、新しいイニシアティブ「Airports of Tomorrow」を発表した。機器メーカー、燃料メーカーからエンジニアリング会社、空港など航空エコシステム全体のリーダーを代表する50名以上のCEOが集結した。
同イニシアティブは、ネット・ゼロ航空を実現するために、空港がその運営とインフラに大きな変化をもたらすよう支援することに重点を置く。参加者は協力して以下を行う。
- 空港エコシステムが、持続可能な航空燃料(SAF)、電気、水素燃料の航空機に対応したオペレーションに転換するためのインフラ要件を、一連の計画を通じて明確化
- 2030年までにネット・ゼロを達成するために必要な300のSAFプラントの地理的分布図を作成
- 革新的な資金調達メカニズム、例えばSAFファンドの共同設計や独創的な規制・政策手段を通じて資本を動員
- 空港をクリーンエネルギーのハブに変えるために必要な数十億ドルの投資を動員するための、持続可能な資金調達ツールキットを提供
Airports of Tomorrowの加盟企業は、 エアバス、アラップ、アトキンス、ボーイング、モット・マクドナルド、ネステ、ランザジェット、デュフリー、メンジーズ・アビエーション、ダラス・フォートワース(DFW)、ロンドン・ヒースロー空港など。
航空業界でネット・ゼロを達成するためには、SAFやバッテリー電気・水素を動力とする飛行のような新技術や代替推進方法への移行を可能にする、年間約1,750億ドル(約24兆円)、2050年までに5兆ドル(約700兆円)に達する投資が必要となる。本イニシアティブは、航空エコシステムの主要な利害関係者を集め、資本を動員し、ネット・ゼロを目指す手助けとなるもの。
本転換は、空港内外のインフラに大きな変化をもたらしうる。例えば、空港が代替推進方式に電力を供給するために消費する電力は、現在の5倍になると推定されており、世界の空港の電力需要は、2050年までに600~1,700TWhのクリーンエネルギーに達するとみられている。これは、ベルギーの半分の大きさの太陽光発電所が生み出すエネルギーに相当する。
空港用地の広大な敷地面積は、太陽光発電所、液体燃料の混合施設、液体水素またはガス水素の貯蔵施設など、これまで空港の活動とは無縁だった新しいインフラを可能にする。
ほとんどの空港には、水素の液化・貯蔵インフラを設置するスペースはあるが、バッテリー式電気航空機や水素航空機の動力源として必要なクリーンエネルギーをすべて発電するには十分な土地がない。空港は、主に発電、電解、液化、持続可能な航空燃料の供給といった、空港内のインフラの変更に加えて、空港外のインフラを開発し、規模を拡大するために、新たな供給ネットワークとパートナーシップの確立を目指す。
【参照ページ】
(原文)50+ CEOs Join Forces in New World Economic Forum Initiative to Transform Airports into Clean Energy Hubs
(日本語訳)世界経済フォーラム、航空業界のカーボンニュートラルを目指す新イニシアティブを発足