6月16日、国際公共部門会計基準審議会(IPSASB)は、政府およびその他の民間部門を対象とした気候関連の開示基準を策定することを発表し、公共部門にとって初のサステナビリティ報告基準となることを明らかにした。
IPSASB議長のIan Carruthersは、今回の発表を「公的部門のサステナビリティ報告基準のニーズに応えるための大きな第一歩」とし、今後数ヶ月のうちにサステナビリティ報告プロジェクトを開始し、他のESGテーマへの対応も検討することを明らかにした。
今回のIPSASBの発表は、2022年1月に世界銀行がIPSASBに対して、公共部門に特化したサステナビリティ報告ガイダンスの開発に対する支援を得るためのプロセスを主導するよう要求し、その後IPSASBがコンサルテーション・ペーパーを発行し、同プロセスへのIPSASBの投資に対する需要の評価を行ったことを受けたものである。
IPSASBによると、コンサルテーション・ペーパーの回答者は、公共部門のサステナビリティ報告基準に対する緊急の必要性を示した。2022年12月、IPSASBは、サステナビリティ関連財務情報の開示に関する一般要求事項、気候関連開示、天然資源非財務開示の3つのサステナビリティ報告プロジェクト候補の検討を開始した。
その後、理事会は気候関連の開示基準の開発を優先することを決定した。IPSASBは、気候変動への対応が急務であることに加え、プロジェクトの主要な根拠として実現可能性を挙げており、IFRS第2号気候関連開示基準やGRI気候関連トピック基準などの既存及び新興のリソースを活用して基準を構築することを提案している。
IPSASBが発表したプロジェクト概要では、IFRS財団の国際サステナビリティ基準委員会(ISSB)やGRIを含む基準設定主体との協働を目指すと述べている。
プロジェクト概要によると、プロジェクトの範囲は、公共部門の企業に対する開示要件の開発を含み、経済、環境、人々に対する気候関連の影響、物理的リスクや移行リスクを含む気候関連のリスクへのエクスポージャー、気候関連の機会を網羅するものである。
プロジェクトの公開草案の承認は2024年半ば、最終的な基準承認は2025年後半と予想されている。
【参照ページ】
(原文)IPSASB BEGINS DEVELOPMENT OF CLIMATE-RELATED DISCLOSURES STANDARD FOR THE PUBLIC SECTOR
(日本語訳)ipsasb、公共部門向け気候関連情報開示基準の開発を開始