欧州委員会の専門家グループであるEUサステナブルファイナンスプラットフォームは、グリーン経済活動を識別するEUタクソノミーにガスおよび原子力エネルギーを含める提案に強く反対する一連の提言を発表した。
同プラットフォームの提言は、一定の条件下でガスや原子力をタクソノミーに含める検討をしている欧州委員会の補完的委任法の草案に対するものだ。同プラットフォームは、本検討は持続可能なタクソノミーの枠組みを損なう危険性があり、欧州の環境目標に沿っていない活動の基準を含むことになると警告している。
EUタクソノミーは、サステナブルファイナンスに関するEU技術専門家グループ(EU TEG)によって策定された「サステナブルファイナンスに関するEU行動計画」の一部だ。EUタクソノミーとは、6つの環境目標のうち少なくとも1つに貢献する重要な役割を果たし、かつ他の環境目標に大きな損害を与えない経済活動を分類することができるシステム。
EUタクソノミー規則は、EUタクソノミ気候委譲法(CDA)の承認を受けて今年初めに発効し、最初の2つの目的である「気候変動の緩和」と「気候変動への適応」からスタートしたが、グリーン投資の対象分野にガスと原子力を含めるかどうかは継続して協議されている。
今月初め、欧州委員会はガスと原子力をEUタクソノミーのグリーン投資分野に含めるための協議開始を発表した。欧州委員会はこれらのエネルギー源が分類されるのは、ガスが再生可能資源から供給され、2035年までに低排出量であることなど、厳しい条件下でのみとしているが、ドイツやオーストリアなど一部の加盟国の議員からはこれらのエネルギー源を含めることに強い反対意見が出されている。
ガスや原子力は、化石由来の電力から環境に配慮したエネルギーシステムへの移行を促進するために必要とされる移行エネルギーとみなされることが多いが、専門家グループは、「グリーンタクソノミーは経済におけるすべての活動、特に現在の排出量が高すぎる、または重大な害が存在するために移行しなければならないエネルギー活動を含むことを意図したものではない」と指摘している。
またタクソノミーの規定には「移行活動」の項目があるが、緩和目標への実質的な貢献や重大な害がないことを保証するなど、厳しい基準に沿った活動にのみ含めることができる。
今回の草案では、専門家グループはガスと原子力の基準がこれらの基準を満たしていないと指摘している。ガスについては基準の一部が「重大な損害を与えないレベル以上のGHG排出を許容している」、「温暖化を1.5度に抑えることと整合的に、投資可能な資産による気候変動緩和への実質的な貢献を保証していない可能性がある」としている。
専門家グループは、公正なエネルギー移行を促進するために、欧州委員会からの拡張された分類法の要請に応え、中間的な「アンバー」パフォーマンスカテゴリーや「アンサステイナブル」カテゴリーなど、ガスや原子力などを含むことが可能なより広範なカテゴリーを開発すると述べている。
グリーンを超える拡張タクソノミーを含むプラットフォームの最終提案は、今後数週間のうちに発表される予定だ。