スコッチウイスキーの蒸留所Bruichladdich、水素を使った製造を試験的に開始

スコッチウイスキーの蒸留所Bruichladdich、水素を使った製造を試験的に開始

スコットランドのウイスキー蒸留所であるBruichladdich(ブルイックラディック)は、パートナーであるプロティウム社とともに、蒸留所運営の脱炭素化に向けて、グリーン水素と熱燃焼技術を用いたパイロットプロジェクトのための資金の英国政府からの獲得を発表した。

ウイスキーの蒸溜には大量のエネルギーが必要であり、多くの蒸溜所ではスチルを動かすための炉やボイラーに重油を使用している。スコッチウイスキー業界の業界団体である

Scotch Whisky Association(SWA)は、環境への影響を低減する必要性を認識し、サステナビリティ戦略の重要な目標の一つとして、2040年までに業界全体の操業からの排出量をネット・ゼロ目標を掲げた。スコッチウィスキー業界では、エネルギー需要を満たすために、風力や太陽光などのさまざまなクリーンエネルギー利用が考えられるが、多くの蒸溜所は遠隔地に位置しているため、グリッドベースの再生可能エネルギーへのアクセスに課題がある。

Bruichladdichは、2025年までに蒸留プロセスを脱炭素化するという独自の目標を掲げている。このプロジェクトは、英国政府の「グリーンディスティラリーコンペティション」による265万ポンドの助成金を受けて実施されるもので、低炭素エネルギー企業であるジェリコ・エナジー・ベンチャーズ社が開発したゼロエミッションのクローズドループ水素ボイラー「Dynamic Combustion Chamber(DCC)」を使用して、燃料である石油に代わって蒸気による蒸留プロセスの熱を発生させる。煙突などの排気を伴わないDCCソリューションは、CO2、NOx、Soxの排出をなくし、副産物として水だけを生成する。

【参照ページ】
(原文)Bruichladdich Distillery Announces £2.65M Funding to Partner with Protium and Jericho Energy Ventures on Major Step Towards Decarbonisation Distillation
(日本語訳)スコッチウイスキーの蒸留所Bruichladdich、水素を使った製造を試験的に開始

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-7-2

    シェルパ、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)理事・小森氏をゲストにウェビナー「ISSBが示すサステナビリティ情報開示の考え方」を実施

    - ISSB基準に関する最新動向から企業価値向上に向けた戦略的情報開示についてまで、講演と対談を通…
  2. ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    2024-5-15

    ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    上場企業であれば気候変動の情報開示が当たり前になってきたのと同じく、人材のウェルビーイングの実現に…
  3. CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    2024-5-7

    CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive…

ピックアップ記事

  1. 2025-7-15

    ESGフロントライン:移行計画の“実行力”が企業価値を左右する時代へ

    ※本記事は、ESG Journal編集部が注目のニュースを取り上げ、独自の視点で考察しています。 …
  2. 2025-7-15

    ESRS開示項目66%削減案へEFRAGが草案公表。ダブルマテリアリティ評価も負担軽減

    7月、欧州のサステナビリティ報告基準を策定する欧州財務報告諮問グループ(EFRAG)は、欧州サステ…
  3. ISSB×SASBスタンダード改訂:実務対応の整理とステップガイド

    2025-7-11

    ISSB×SASBスタンダード改訂:実務対応の整理とステップガイド

    2025年7月に公表されたSASBスタンダードの改訂案は、IFRS S2の産業別ガイダンスと連動す…

““登録03へのリンク"

ページ上部へ戻る