世界的な投資会社であるSchroders(以下、シュローダー)とシンガポールの政府系ファンドであるGICは、投資家が企業のバリューチェーンにおける排出量の枠を超えて、排出量削減のための投資機会を特定・評価するための包括的なアプローチを説明した新しい研究論文「A Framework for Avoided Emissions Analysis」を発表した。
同論文によると、気候変動が今後数十年の投資テーマとして浮上しており、企業や政府の脱炭素化への取り組みが大きなチャンスとなっている一方で、投資家が用いる従来の排出削減策の多くは、スコープ1、2、3の排出量に焦点を当てており、企業のより広範な排出影響を考慮していない。
シュローダーとGICが発表した新しいフレームワークは、投資家が回避排出量を測定し、投資やポートフォリオ分析に統合できるようにすることを目的としており、経済全体の削減を促進するソリューションの開発や、高炭素活動を低炭素活動に置き換えるなど、企業の排出削減への貢献をより広く理解することができる。
Schroders社とGIC社によると、このフレームワークは系統的なバリューチェーンのアプローチを用いて、投資可能性とスケーラビリティに焦点を当てながら、産業の排出量回避への貢献度を把握している。本論文では19の炭素回避活動と産業を調査し、収益1ドルあたりの排出削減量を定量化した。
また論文内では、このフレームワークを低炭素社会への移行を加速させている企業に焦点を当てたポートフォリオに適用し、MSCI ACWI Investable Market Index (IMI)の株式ユニバースと比較したところ、広範なインデックスに比べて有意に強い収益成長を示したと述べられている。
【参照ページ】
(原文)A Framework for Avoided Emissions Analysis
(日本語訳)SchrodersとGIC、既存方法の脱炭素化の投資機会を特定するフレームワークを立ち上げる