テック大手ら、原子力発電の拡大を支持—2050年までに世界の原子力容量を3倍に

3月12日、Amazon、Google、Meta、Dow、Occidentalなどの大手企業は、2050年までに世界の原子力発電容量を現在の3倍以上に拡大する目標を支持する「Large Energy Users Pledge(大規模エネルギー利用者誓約)」に署名した。本誓約は、2025年3月に米国テキサス州ヒューストンで開催されたエネルギー業界の国際会議「CERAWeek」にて発表された。

本誓約は、31カ国 の政府、140社以上の原子力関連企業、および14の国際金融機関 による同様の支持表明に続くものであり、エネルギー業界全体における原子力発電の重要性を改めて強調する動きとなっている。

誓約の中で署名企業は、「経済成長のためにエネルギー需要が大幅に増加することが予想される」 と指摘し、安定したクリーンエネルギー供給の確保のために原子力発電の拡大が必要であると認識している。さらに、「原子力は天候や地理的条件に左右されず、24時間稼働可能なエネルギー源であり、技術産業、電化促進、工業プロセスの熱供給、合成燃料の生産など、多岐にわたる用途で貢献できる」 と述べた。

Googleのクリーンエネルギー・脱炭素技術責任者ルシア・ティアン は、「原子力発電は、信頼性の高い持続可能なエネルギーシステムを構築するために不可欠であり、私たちはこの誓約に署名できることを誇りに思う」とコメントした。Amazon Web Servicesのエネルギー・水部門責任者ブランドン・オイヤーも、「原子力開発の加速は、国家安全保障の強化、エネルギー需要の充足、気候変動対策において極めて重要である」と述べた。

本誓約は、政府および金融機関が原子力開発を支援する重要性を強調 している。具体的には、原子力発電が他のエネルギー源と平等に資金調達を受けられる環境を整備することが、グローバルな原子力拡大のカギになると指摘。加えて、「政府が適切な政策と規制の変更を行えば、原子力発電の迅速な拡大が可能である」と訴えた。

【参照ページ】
(原文)Large Energy Users Pledge

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