GRI、企業の透明性と人権向上のため基準の見直しを開始

6月10日、グローバル・レポーティング・イニシアティブ(GRI)は、労働関連の全基準の包括的な見直しの開始を発表した。このイニシアティブは、企業が労働者への影響をより適切に報告し、職場の労働と人権に関する透明性を高めることを目的としている。

今回の見直しのプロセスは、3つの具体的な基準の改訂草案に関する協議から始まっている。対象は「GRI 402: 労使関係」、「GRI 401:雇用」、「GRI 202: 市場プレゼンス」でありパブリックコメントが募集されている。改訂案には下記の事項が含まれている。

  • 雇用: 非正規雇用、個人情報保護とプライバシー、雇用と離職の指標を含む。
  • 報酬と労働時間: 生活費の見積もり、基本的な男女間の賃金格差、社会的保護の適用に関する政策と指標に焦点を当てる。
  • 労働者に対する重大な変更: 労働者代表のための協議・通知期間、再雇用、スキルアップ、再教育、解雇を対象とする。

初回の協議に加え、労働に関するプロジェクトは、今後12ヶ月の間にさらに2回の協議を計画している。これらの協議は、労働、生活、キャリア開発、労働者の権利と保護に関連する報告側面に焦点を当て、合計11のGRI基準全体の更新につながる。

本イニシアティブは、労働慣行における企業の説明責任と透明性の強化に向けた重要な一歩であり、持続可能な開発と人権という広範な目標に貢献するものである。

GRIサステナビリティ・レポーティング・スタンダードは、企業の持続可能性報告のための最も広く受け入れられているグローバルなフレームワークのひとつである。Global Sustainability Standards Board(GSSB)によって策定されたこれらの基準は、投資家を含む多様なステークホルダーに対応し、様々な業界における持続可能性の実践に関する一貫した明確なコミュニケーションを促進する。

【参照ページ】
(原文)GRI – Blueprint to advance transparency and accountability for labor impacts (globalreporting.org)
(日本語参考訳)労働への影響に対する透明性と説明責任を高めるための青写真

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