12月1日、アラブ首長国連邦(UAE)政府は、ドバイで開催された気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)において、民間資本を気候変動投資に向かわせ、特に「南半球」に焦点を当てた新興市場における気候変動資金へのアクセスを改善することを目的とした新しい投資プラットフォーム「ALTÉRRA(アルテラ)」の立ち上げを発表した。
アラブ首長国連邦(UAE)の300億ドル(約4兆円)のコミットメントにより立ち上げられた本プラットフォームは、2030年までに全世界で2,500億ドル(約36.5兆円)の動員を目標としている。新プラットフォームの立ち上げパートナーには、ブラックロック、ブルックフィールド、TPGが含まれ、ALTÉRRAはこれらのファンドマネージャーによる気候変動に焦点を当てたファンドに65億ドル(約1兆円)を投資する。
UAEによると、本プラットフォームの立ち上げは、「より公平な気候変動資金調達システム」の構築を支援することを目的としている。UAEは、気候変動に対処するために新興市場や発展途上国で年間2.4兆ドル(約350兆円)の資金が必要であり、気候変動資金をCOP28の重要なアクション・アジェンダの柱のひとつに据える必要があると指摘している。
新プラットフォームは2部構成で、250億ドル(約3.5兆円)のALTÉRRA ACCELERATIONは、アンカー投資家として、また気候変動戦略の共同投資家として、ネット・ゼロ移行と気候変動レジリエンスを支援する大規模な気候変動投資に機関投資家の資金を誘導する。
新プラットフォームの立ち上げを発表する声明によると、立ち上げパートナーのブラックロック、ブルックフィールド、TPGは、他の機関投資家やグローバル企業から資本を動員することが期待されている。ブラックロックのパートナーシップの下、ALTÉRRA Accelerationはブラックロックが最近立ち上げたClimate Transition-Oriented Private Debt戦略に10億ドル(約1,500億円)をコミットし、ALTÉRRA AccelerationとALTÉRRA Transformationからさらに10億ドル(約1,500億円)がブラックロックのインフラ・エクイティ戦略を通じて移行関連インフラに投資され、さらに3億5,000万シンガポールドル(約400億円)がグローバル・サウスのインフラに投資される。
ブルックフィールドは、ALTÉRRA ACCELERATIONから、クリーンエネルギーへの投資と炭素集約型セクターの事業転換を目的としたブルックフィールド・グローバル・トランジション・ファンドIIに20億ドル(約3,000億円)のコミットメントを得ており、また、新興市場および発展途上市場におけるCOP28アクション・アジェンダの柱であるエネルギー転換、産業の脱炭素化、持続可能な生活、気候技術を対象としたカタリティック・トランジション・ファンドの立ち上げのために、最大10億ドル(約1,500億円)のコミットメントを得ている。ALTÉRRAはまた、TPG Rise Climateのプライベート・エクイティ・ファンドに15億ドル(約2,000億円)を出資し、そのうちの5億ドル(約730億円)は新たなGlobal South Initiativeに出資され、TPG Rise Climate IIからも10億ドル(約1,500億円)の共同出資を受ける。
【参照ページ】
(原文)UAE commits US$30 billion in catalytic capital to launch landmark climate-focused investment vehicle at COP28
(日本語参考訳)UAE、300億ドルの気候行動基金を設立