11月2日、国連環境計画(UNEP)が発表した報告書は、ドバイで開催されるCOP28気候協議を目前に控え、世界的な気候変動への適応努力が減速していることを示している。「適応ギャップ報告書2023」は、途上国の適応資金ニーズが、現在の国際的な公的資金の流れの10倍から18倍であることを強調している。
途上国の適応資金ニーズは、現在の国際的な公的資金フローの10倍から18倍と推定される。適応資金ニーズの増大と資金支援の減少により、現在の適応資金ギャップは年間1,940億~3,660億米ドル(約29兆円~約55兆円)と推定される。
また、気候の影響が増大しているにもかかわらず、適応の計画と実施は停滞の兆しを見せている。途上国に対する多国間および二国間の公的適応資金フローは15%減少し、2021年には210億米ドル(約3兆円)となり、COP26のプレッジに挑戦する。
今後10年間に必要な適応資金は年間2,150億~3,870億米ドル(約32兆円~約58兆円)と推定された。COP26の誓約があっても、適応資金の支援は不足しており、脆弱な人々にとって重大な影響をもたらしている。
アントニオ・グテーレス国連事務総長は、「適応の緊急事態」を強調し、適応ギャップを埋めるための早急な行動を促している。適応の失敗は、特に最も脆弱な地域社会にとって、損失と損害に深刻な影響を及ぼす。
報告書は、国内支出、国際金融、民間金融、送金、中小企業への支援など、資金を増やすための7つの方法を挙げている。沿岸部の洪水対策や農業への適応策に投資することで、大きな経済効果が得られ、人道的危機を防ぐことができるという研究結果が出ている。
世界的な金融アーキテクチャー改革を求め、新たな損失・損害基金の重要性を強調し、必要な投資規模を達成するための革新的な資金調達メカニズムを促す。国連環境計画(UNEP)のインガー・アンダーセン事務局長は、温室効果ガスの排出削減と適応努力の強化に向けた緊急行動の必要性を強調し、COP28が脆弱な人々を保護するための世界的なコミットメントの正念場であることを強調した。報告書は、気候変動の影響によるコストの増加により、早急かつ野心的な適応策が必要であることを強調している。
【参照ページ】
(原文)As climate impacts accelerate, finance gap for adaptation efforts at least 50% bigger than thought
(日本語参考訳)気候変動の影響が加速する中、適応努力のための資金ギャップは想像より少なくとも50%大きい