シンガポール中央銀行、投資家と銀行にネット・ゼロへのダイベストメント・アプローチを避けるよう指導
10月18日、シンガポールの中央銀行および金融規制当局であるシンガポール金融管理局(MAS)は、銀行、保険会社、資産運用会社を含む金融機関向けのネット・ゼロ移行計画に関するガイドライン案を含む一連のコンサルテーション・ペーパーを発表した。
同ガイドラインは、金融機関が健全な移行計画プロセスを策定し、顧客や投資先企業による効果的な気候変動緩和・適応策を可能にすることで、ネット・ゼロ経済への移行や気候変動の物理的影響を管理することを、MASの監督当局が期待するものである。
本ガイドラインに含まれる主な期待の一つは、金融機関が移行計画に対して、ダイベストメントではなく、エンゲージメント・アプローチを取ることであり、物理的リスクや移行リスクへの対応について顧客や投資先企業と関わりを持ち、カーボンフットプリントを削減し、気候変動への耐性を構築するために協力することである。MASによれば、信頼できる移行計画を持つ、気候変動リスクにさらされている企業から融資や保険、投資を引き揚げることは、脱炭素化に必要な資金を奪う可能性がある。
MASはまた、金融機関に対し、物理的リスクや移行リスクが顕在化するまでの期間が長いことを考慮し、一般的な融資や投資の期間を超えて、移行計画に複数年のアプローチをとるよう指導した。
MASからの追加ガイダンスとしては、物理的な気候リスクと適応的な気候リスクの複雑な相互作用を考慮するため、リスクに対する全体的なアプローチや気候緩和・適応策に対する統合的なアプローチをとること、また、気候関連リスク以外の環境リスク(自然資本や生物多様性の損失など)を考慮し、移行計画においてこれらの環境リスクの相互依存関係を考慮することなどが挙げられた。さらに、金融機関は、利害関係者に対して、重要な気候関連リスクへの対応状況や、それらのリスクに対処するためのガバナンスやプロセスについて理解できるよう、関連情報を開示するよう指導された。
【参照ページ】
(原文)MAS Guidelines for Financial Institutions on Transition Planning for a Net Zero Economy
(日本語参考訳)シンガポール中央銀行、投資家と銀行にネット・ゼロへのダイベストメント・アプローチを避けるよう指導