10月10日、産業界の脱炭素化に焦点を当てたプライベート・エクイティ投資家Ara Partnersは、幅広い分野におけるエネルギー転換に不可欠な主要磁性材料とソリューションの世界的大手メーカーであるVacuumschmelze(VAC)をApollo Global Managementから買収したと発表した。
VACは2011年、特殊化学品・素材企業のOMグループによって約10億ドル(約1,497億円)で買収された。その後、OMグループは2015年にApolloに買収された。
VACは垂直統合型の磁気ソリューション・プロバイダーで、自動車、再生可能エネルギー、産業オートメーション、医療、航空宇宙など幅広い産業用途向けに、ミッションクリティカルな軟質および硬質磁性材料の設計・製造を行っている。ドイツに本社を置き、スロバキア、フィンランド、中国、マレーシアに製造拠点を持つ同社は、エネルギー転換に不可欠な、代替が困難な磁性材料に対する世界的な需要の増大に対応する態勢を整えている。
再生可能エネルギーと電気駆動の輸送手段への移行には、EVや風車などの再生可能エネルギー技術、その他の電子機器に使用される材料を大量に入手する必要がある。歴史的に中国は、レアアースの約90%、風力タービンとEV用バッテリーの約60%の生産を担ってきた。世界的な同盟関係や経済の変化に伴い、米国を含む西側諸国は、サプライチェーンを他の西側生産国にシフトさせるとともに、レアアースの代替品探しに取り組んでいる。
VACは、焼結NdFeB EVグレード永久磁石の唯一の欧米メーカーである。2023年1月、VACはゼネラル・モーターズ(GM)と、GMのEVの幅広いポートフォリオに使用される電気モーターに供給する永久磁石を、現地調達の原材料を使用して製造する施設を北米に建設する長期契約を締結した。EV用永久磁石の販売だけで、VACは今後5年間で1ギガトンのCO2排出削減を促進する可能性がある。
【参照ページ】
(原文)Ara Partners Acquires Vacuumschmelze, Leading Global Advanced Magnetic Materials Producer
(日本語参考訳)Araパートナーズ、世界有数の先端磁性材料メーカーVacuumschmelzeを買収