IRENA、再エネによる2022年発電コストの約76兆円減を報告

8月29日、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は、再生可能エネルギーの発電コストを分析した報告書「Renewable Power Generation Costs in 2022」を発表した。本報告書は、2022年に追加された再生可能エネルギー発電が、世界の電力セクターの燃料費を削減することを示している。2000年以降に追加された新しい発電容量は、2022年の電力セクターの燃料費を少なくとも5,200億ドル(約76兆円)削減している。非OECD諸国では、2022年に新たに追加される電力容量の耐用年数にわたって節約されるだけで、最大5,800億ドル(約85兆円)のコスト削減になる。

直接的なコスト削減に加えて、CO2排出量と地域の大気汚染物質の削減による大きな経済的メリットもあると言及。過去20年間の再生可能エネルギーの導入がなければ、2022年の化石燃料価格ショックによる経済的混乱は、より深刻なものとなり、多くの政府が公的資金を投入して軟化させる能力を超えていたと推定している。

本報告書によると、2022年における商品および設備コストのインフレの結果、2022年のコスト動向は各国で顕著に異なる結果となった。しかし、世界レベルで見ると、再生可能エネルギー毎の平準化電力コスト(LCOE)は、実用規模の太陽光発電で3%、陸上風力発電で5%、集光型太陽光発電で2%、バイオエネルギーで13%、地熱発電で22%低下した。

洋上風力と水力発電のコストのみそれぞれ2%と18%増加したが、これは2022年の洋上風力発電導入における中国の割合が減少したことと、多くの大規模水力発電プロジェクトでコスト超過が発生したためである。

過去13~15年間、太陽光発電と風力発電による再生可能エネルギーの発電コストは下がり続けてきた。太陽光発電のLCOEは89%下落し、0.049ドル(約7円)/kWhとなった。陸上風力発電の場合、2022年には69%減の0.033ドル(約5円)/kWhとなり、最も安価な化石燃料火力発電の2022年の半分以下になった。

【参照ページ】
(原文)Global power sector saved fuel costs of USD 520 billion last year thanks to renewables, says new IRENA report
(日本語参考訳)IRENA、再エネによる2022年発電コストの約76兆円減を報告

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