IEAとAfDB、2030年クリーン調理アクセス拡大に向けたガイダンスを発表

7月26日、国際エネルギー機関(IEA)とアフリカ開発銀行(AfDB)は、2030年までに世界中のすべての家庭がクリーン調理を利用できるようにするための実践的なガイド「A Vision for Clean Cooking Access for All」を発表した。本報告書では、特に喫緊の課題であるアフリカのニーズに注目する。必要な政策、技術、投資、実施努力を明らかにすることで、クリーン調理の取り組みに対する国際的な支援を喚起し、国連持続可能な開発目標サミット、アフリカ気候行動サミット、そして2023年以降に開催されるCOP28気候変動会議に向けた対話への情報提供を目指す。

本報告書によると、世界の3人に1人、23億の人々が、食事を作るための燃料として木炭、薪、石炭、農業廃棄物、家畜の糞に頼っており、その過程で有害な煙を吸い込んでいる。こうした初歩的な調理方法による大気汚染は、年間370万人の早死を引き起こし、世界第3位の早死原因となっている。燃料の収集と食事作りの負担は通常女性にかかり、1日平均5時間かかる。このため、多くの女性は教育や雇用を追求したり、経済的自立を実現できるような事業を始めることができない。

クリーン調理を利用できない人々が広く使っている基本的な調理法も、温室効果ガス排出の原因となっている。調理用の薪や木炭を集めることで、毎年アイルランドと同じ面積の森林が失われている。

2010年以降、ストーブの無償提供や液化石油ガスボンベの補助金支給によって、中国、インド、インドネシアは、クリーン調理ができない国民の数を半減させた。一方アフリカでは、同時期に清潔な調理器具を使用できない人口が増え続けている。現在の政策設定では、アフリカのほとんどの国では、2050年代になってもクリーン調理への完全なアクセスには到達しないと予想されている。

国連の持続可能な開発(SDGs)の目標7「クリーンエネルギー」に掲げられたクリーン調理へのアクセスを達成するためには、現在から2030年の間に毎年3億人近くの人々がクリーン調理を利用できるようになる必要がある。サハラ砂漠以南のアフリカの人々は、その半分を占めており、国際的な取り組みがどこに重点を置くべきかを浮き彫りにしている。

クリーン調理への普遍的なアクセスを達成するには、現在から2030年の間に、コンロとインフラに年間80億米ドル(約1.2兆円)の投資が必要であるとした。これは、2022年に各国政府が国民が手ごろな価格でエネルギーを利用できるようにするために支出した額の1%にも満たない。クリーン調理を進める上で、特に公的資金による必要な投資を推進する財政的余力のない地域では、公的資金と民間資金が重要な役割を果たす。最貧地域、特にサハラ以南のアフリカにおけるプロジェクトを支援するためには、譲許的資金と気候変動資金が必要となる。

【参照ページ】
(原文)Low-cost solutions can give billions access to modern cooking by 2030, but the world is failing to deliver
(日本語訳)IEAとAfDB、2030年クリーン調理アクセス拡大に向けたガイダンスを発表

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