ヴァージン・アトランティック航空、史上初の100%SAFによる大西洋横断便を運航予定

7月20日、ヴァージン・アトランティック航空が率いるコンソーシアムは、100%SAFを使用した史上初の大西洋横断飛行を2023年11月28日に予定していると発表した。

本フライトは、ボーイング787ドリームライナーで行われ、ロンドン・ヒースロー空港からニューヨークJFK空港まで飛行する。

本コンソーシアムには、ロールスロイス、ボーイング、シェフィールド大学、インペリアル・カレッジ・ロンドン、ロッキーマウンテン研究所が参加し、英国政府の運輸省から資金援助を受けている。

本発表は、2023年末までに100%SAFを使用した、史上初のネット・ゼロ・エミッションの大西洋横断便を実現するという英国政府の昨年の公約に続くものである。12月にはヴァージン・アトランティック航空が本フライトを運航するための資金提供を受けるべく、コンペを勝ち抜いたと政府が発表した。

燃料は航空部門の排出量の大部分を占めている。一般的に、廃油や農業残渣のような持続可能な資源から生産され、SAFの生産者は、この燃料が従来の燃料に比べてライフサイクルGHG(温室効果ガス)排出量を85%も削減できると見積もっている。

しかし、航空会社によるSAFの利用を実質的に増やす努力は、現在市場に出回っている供給量の少なさや、従来の化石燃料をはるかに上回る価格など、大きな課題に直面している。SAFは現在、ジェット燃料の0.1%未満であり、燃料基準では商用ジェットエンジンにSAFを50%しか混合できない。

同社によると、本フライトは、SAFが化石ベースのジェット燃料の100%ドロップイン代替燃料となる可能性を実証するものだという。

本フライトのSAFは、燃料サプライヤーのAir bpとVirentから供給され、廃油、油脂を原料として利用するHEFA(Hydroprocessed Esters and Fatty Acids)を88%、植物性糖類を原料とするSAK(Synthetic aromatic kerosene)を12%ブレンドする。

【参照ページ】
(原文)World first 100% SAF transatlantic flight taxis closer to takeoff
(日本語訳)ヴァージン・アトランティック航空、史上初の100%SAFによる大西洋横断便を運航

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  2. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(後編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  3. 【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    2025-8-6

    【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    ※本記事は、2025年7月31日時点の情報を元に作成している。今後の動向により内容は随時更新される…

ピックアップ記事

  1. 2025-9-16

    セブン&アイHD、TCFD・TNFD統合開示を公表 財務インパクトの試算と自然資本分析も深化

    9月8日、セブン&アイ・ホールディングスは、「気候・自然関連情報報告書―TCFD・TNFD統合開示…
  2. ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    2025-9-15

    ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    ※本記事は、ESG Journal編集部が注目のニュースを取り上げ、独自の視点で考察しています。 …
  3. 2025-9-12

    ISOとGHGプロトコル、温室効果ガス基準を統合へ 世界共通言語の構築目指す

    9月9日、ISO(国際標準化機構)とGHGプロトコルが、既存のGHG基準を統合し、新たな排出量算定…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る