7月4日、投資運用会社Fidelity Internationalの新調査によると、約60%のアナリストが、企業がESG問題に対応するようになってきているものの、企業が推進するESG認証は、その行動によって裏付けられていないと推定していることが判明した。
「2023年 Fidelity International ESGアナリスト調査」と題された本調査で、Fidelityはエクイティ、フィクスド・インカム、プライベート・クレジット、サステナブル・インベスティングの各チームに所属する社内アナリスト123名を対象に、約15,000社との対話から得られたボトムアップ情報を集計した。
本調査によると、ESGを考慮した活動や計画を組み込む企業は増えているが、その多くはサステナビリティ目標の達成には至っておらず、ESGの主張を自社の行動と比較して誇張している企業も多い。
本調査によると、2050年までに排出量をネット・ゼロにするために十分な支出をしている企業は57%に過ぎず、欧州企業が69%でトップ、北米企業は53%であった。
アナリストの予測では、2030年までにネット・ゼロを達成する企業は昨年の25%から24%に減少し、欧州(昨年の31%から今年の25%)と日本(昨年の31%から今年の27%)では減少幅が大きくなったが、北米は20%から23%に、中国は23%から29%に改善した。
この減少は、企業が世界経済の低迷によるストレスに直面し、長期的なサステナビリティの問題ではなく、より目先の業績に焦点を当てるよう圧力をかけていることに起因する。
企業は気候変動目標の達成にまだ目処が立っていないようだが、本調査では、多くの企業でESGへの注目度が高まっていることがわかった。アナリストの73%が「自社はESG問題に対応している」と回答し、50%以上が「経営陣の報酬は現在、排出量目標と連動している」と報告、60%以上の企業が取締役会レベルでサステナビリティを監督している。
しかし、このような状況にもかかわらず、調査結果によると、ESGの主張を誇張している企業が増えている可能性がある。この結果は特にエネルギー・セクターで顕著で、自社の行動が少なくともESG認証の宣伝努力に見合うと回答したのはわずか17%であった。
【参照ページ】
(原文)Why are companies unlikely to hit net zero?
(日本語参考訳)Fidelity調査:アナリストの60%、企業のESG主張は行動に裏打ちされていないと回答