6月19日、カナダ政府は、新たに発足した持続可能な航空技術イニシアティブ(INSAT)を支援するため、3億5,000万カナダドル(約377億円)を投資すると発表した。
航空業界は、温室効果ガス(GHG)排出の重要な原因として注目されており、世界排出量の2~3%を占めている。
航空宇宙産業が気候変動に与える影響に対処するために進められている取り組みには、航空機効率の改善、持続可能な航空燃料(SAF)の開発、電気や水素を利用した低炭素またはゼロ炭素の推進システムを利用した航空機の開発などが含まれるが、これらの多くは開発の初期段階にある。
航空機産業の脱炭素化に向けた取り組みが加速するなか、グリーンな航空宇宙新技術の開発を主導する機会も生まれつつあり、各国はこの勢いを取り込もうと動き出している。例えば、カナダの発表は、フランスのエマニュエル・マクロン大統領が、航空部門の脱炭素化を目的とした技術と低炭素燃料に2030年まで年間3億ユーロ(約468億円)を投資すると約束したことに続くものである。
政府の声明によると、INSATへの新たな投資は、研究開発プロジェクトへの資金提供に焦点を当てた、カナダ全土の産業主導型ネットワークの確立を目指す。プロジェクトは、ハイブリッドおよび代替推進、航空機アーキテクチャとシステム統合、代替燃料への移行、航空機支援インフラと運用を含む4つの主要技術分野を対象とする。
航空宇宙産業は、カナダ経済に約270億ドル(約2.9兆円)(約187億ドルの輸出を含む)を貢献し、21万人の雇用を生み出している。政府は昨年、「航空気候行動計画2022-2030」を発表し、2050年までに航空セクターのネット・ゼロ・エミッションを達成する戦略を概説した。
【参照ページ】
(原文)Canada invests $350 million in national sustainable aviation innovation network
(日本語参考訳)カナダ、持続可能な航空技術に約377億円を投資