ShareActionサーベイ:責任投資と給与を連動させる資産運用会社は2020年以降83%に

責任投資と給与を連動させる資産運用会社は2020年以降12倍増の83%に

3月13日、責任投資NGOのShareActionが発表した新しい調査によると、世界最大の資産運用会社は、過去数年間、ポートフォリオにおけるESG関連問題を対象とした投票方針やエンゲージメントの利用を大幅に増やしており、こうした変化は、運用会社の責任投資監督や財務インセンティブ方針にも現れているとのことだ。

ShareActionは、本報告書において、欧州、米州、アジア太平洋地域の合計77兆ドル(約1京円)の運用資産を持つ世界最大の77の資産運用会社のガバナンスとスチュワードシップの実践を、調査データおよび公開情報に基づき調査した。

本調査では、議決権行使方針を通じてESG関連事項の責任を取締役会に求める投資家が過去数年間で急増していることがわかった。報告書によると、現在82%の資産運用会社が気候変動に関する議決権行使方針を定めているが、2020年には56%しかなかった。同様に、81%が社会的課題に関する議決権行使方針を報告しているのに対し、2020年には53%のみが人権と労働権を対象とした議決権行使方針を報告している。地域別では、気候変動と社会的課題に関する議決権行使方針を持つ資産運用会社の割合は、南北アメリカがそれぞれ91%と95%と最も高く、ヨーロッパが85%と82%、アジア太平洋が62%と54%であるのに対し、南北アメリカは10%であった。生物多様性については、議決権行使方針を持つ資産運用会社は少なく、38%のみが生物多様性方針を報告している。

また、本調査によると、資産運用会社は議決権行使の問題に関する透明性を高めており、2020年には55%であった議決権行使の記録を88%が公開しているとのことである。

報告書によると、ESG課題はほとんどの資産運用会社のエンゲージメント優先事項の上位にあり、5社中4社近く(79%)の資産運用会社が気候変動に関するエンゲージメント方針を報告し、社会課題については70%が報告しているが、生物多様性課題については約半数にとどまっている。

また、半数以上(56%)の資産運用会社が、エンゲージメント・プロセスの一環として、株式や債券の保有を減らす、新たな債券を購入しない、全面的な売却を行うなど、何らかの形で売却活動を行ったことがあると報告している。投資売却は、米州の40%、アジア太平洋の31%よりも、欧州の74%の資産運用会社の方がはるかに一般的であった。

ESGの問題が資産運用会社の課題になるにつれ、責任ある投資監督と報酬も同様に進化してきた。報告書によると、2020年には21%しかなかった責任投資ポリシーの監督について、現在では3分の2の資産運用会社が取締役会または評議員に何らかの責任を負っていると回答している。

報告書で明らかになった最も大きな変化の一つは報酬で、83%の資産運用会社が責任投資に関する金銭的インセンティブを報告しているのに対し、2020年にはわずか7%だった。同様に、責任投資に関する研修もますます一般的になっており、94%の資産運用会社が少なくとも一部の意思決定者が責任投資に関する研修を受けており、そのうち69%はすべての意思決定者がそのような研修を受けているのに対し、2020年に責任投資に関する研修を実施しているのは64%に過ぎないという調査結果も出ている。

報告書では、資産運用会社において、主要なESG課題に関する議決権行使、エンゲージメント、スチュワードシップポリシーの利用が増加していることが示されているが、ShareActionは、その影響を高めるために会社が取るべき行動として、責任投資ポリシーに対する取締役会の説明責任の強化、必須トレーニングの導入、より強固なエンゲージメントおよびエスカレーションポリシーの実施、投票方針の透明性の一層の向上などを指摘している。

【参照ページ】
(原文)Asset managers make easy wins on responsible investment but shy away from tougher battles
(日本語参考訳)資産運用会社、責任投資で楽勝も厳しい戦いに尻込みする

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