11月30日、航空宇宙大手のAirbusは、水素を動力源とする燃料電池エンジンを開発していると発表した。また、推進システムをゼロエミッション航空機に搭載する可能性を検討中であることを明らかにした。同社は、燃料電池の実証機をA380飛行試験機で試験することを目指すという。
航空業界は、世界の温室効果ガス(GHG)排出量の約2〜3%を占めており、対策を講じなければ、今後数十年で劇的に上昇する可能性がある。航空機の効率向上、持続可能な航空燃料の開発、電気や水素を利用した低炭素またはゼロカーボン推進システムによる航空機の開発など、航空産業が気候に与える影響に対処するために、いくつかの取り組みが進められている。
現在、多くのイニシアティブが、電気推進やSAFなど、より迅速な脱炭素化を可能にする分野を対象としているが、水素は、カーボンフリーな方法で製造できる可能性があり、ジェット燃料よりも重量あたりのエネルギー量が多いという特性から、業界内ではより有望な長期的ソリューションと見なされている。
Airbusは以前、2035年までに世界初のゼロ・エミッション民間航空機を開発する目標を発表しており、同社は、再生可能エネルギーから生成した場合、二酸化炭素を排出せず、水が最も大きな副産物であることから、水素を最も有望なゼロ・エミッションソリューションの1つとして認識していると述べている。
同社によると、水素はガスタービンで燃焼させるか、燃料電池を使って水素を電気に変換し、プロペラエンジンを動かすことで航空機の動力源として利用することができる。
同社は、水素燃料電池エンジン実証機には、AirbusのA380 MSN1飛行試験機を使用すると発表した。この機体は現在、液体水素タンクとその関連配給システムを搭載するための改造が行われている。同機は、燃料電池エンジンポッドを搭載するために外装を改造し、機体後部には液化水素を貯蔵する低温タンクを設置する予定である。
【参照ページ】
(原文)Airbus reveals hydrogen-powered zero-emission engine
(日本語訳)エアバス、水素で動くゼロ・エミッション・エンジンを公開