11月11日、バイデン政権は最新の「米国メタン排出削減行動計画」を発表し、全米でのメタン排出削減を目指した一連の幅広いアクションを概説した。
COP27で発表された本計画には、メタン排出に取り組むための200億ドル(約2.8兆円)以上の新規投資が含まれており、資金は、毎年の予算に加えて、超党派インフラ法およびインフレ抑制法から割り当てられる予定だ。
本計画の主な投資分野は、孤立した油田・ガス田のキャップリング、産業機器の改善、放棄された炭鉱の埋め立てなどである。
温暖化を1.5℃に抑えるという地球温暖化防止目標の達成に向け、メタン排出の急速な削減は最も効果的な短期的措置のひとつと考えられている。メタンは、農業、化石燃料の生産と輸送、石炭採掘、埋め立てなどの活動から排出される非常に強力な温室効果ガスであり、CO2の80倍もの温暖化効果があると言われている。しかし、大気中での寿命がCO2の50-100年に対して10-12年と非常に短いため、メタン排出量を短期的に削減することで、今後数年間で気候変動に大きな影響を与えることができる。
本発表は、昨年のCOP26において、米国とEUが、2030年までに世界のメタン排出量を2020年比で少なくとも30%削減することを目指した「グローバル・メタン・プレッジ」を発表したことに続くものである。
本計画では、さまざまなセクターのメタン排出を対象とした一連のアクションが強調されている。例えば、化石燃料分野では、メタン排出の主な原因である何万もの孤立した油井やガス井を塞ぐために50億ドル(約7,000億円)を投入し、石油・ガス事業からのメタン排出を監視・削減するために15億ドル(約2,100億円)以上の資金・技術援助を提供する方向で動いているとし、超党派インフラ法では放棄炭鉱の埋め立てに15年間で110億ドル(約1.5兆円)以上を割り当てていると述べている。農業分野では、「気候変動に強い」商品の市場拡大、畜産農場での嫌気性消化器への投資支援、研究への投資などがあり、建築・産業分野では、エネルギー効率と電化への投資、家電効率基準の改善、ヒートポンプ導入の加速化などがある。
このほか、埋立地でのメタンガス回収、食品廃棄物の削減、化石燃料に代わるクリーンな水素など、産業施設でのクリーン技術の推進なども、行動や投資の対象としている。
【参照ページ】
(原文)FACT SHEET: President Biden Announces New Initiatives at COP27 to Strengthen U.S. Leadership in Tackling Climate Change
(日本語訳)バイデン氏、メタン排出削減のために約2.8兆円を計上