バイデン米大統領、連邦政府供給業者に排出量の開示と気候変動目標の設定を義務付ける規則を発表

バイデン、連邦政府供給業者に排出量の開示と気候変動目標の設定を義務付ける規則を発表

11月10日、バイデン政権は、連邦政府のサプライヤーに対し、排出量と気候関連財務リスクのデータを開示し、科学的根拠に基づく排出量削減目標を設定することを義務付ける「連邦サプライヤー気候リスクと回復力規則」の新提案を発表した。

新しい取り組みは、12月にバイデン大統領によって開始された政権の連邦持続可能性計画の一部を成すもので、2050年までに連邦政府がネット・ゼロ排出を達成するための一連の目標およびイニシアティブの概要を示し、同日までに連邦調達による排出をネット・ゼロにする目標も含まれている。

米国政府は世界最大の物品・サービスの買い手であり、昨年の購入額は6300億ドル(約87.8兆円)に達している。この新しい提案を発表したホワイトハウスの声明によると、サプライチェーンは連邦政府の排出量の主な原因であり、30万棟の建物と60万台の車両を合わせた排出量の2倍以上を担っている。

新規則では、年間契約額750万ドル(約10.4億円)以上のすべての連邦政府請負業者に、スコープ1および2の排出量、または直接管理下にある排出量の報告を義務付け、年間契約額5000万ドル(約69.6億円)以上の請負業者には、スコープ3の排出量の関連カテゴリー、またはバリューチェーン全体で発生しているもの、および気候関連の財務リスクも公開するよう求めている。また、契約金額が5,000万ドル(約69.6億円)以上の企業には、科学的根拠に基づく排出量削減目標の設定が義務付けられる。

ホワイトハウスは、本提案は、CDP環境報告システム、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)勧告、Science Based Targets Initiative(SBTi)基準など、多くのサプライヤーが既に使用している開示と目標設定の基準やシステムを活用するものであるとしている。

【参照ページ】
(原文)Federal Supplier Climate Risks and Resilience Proposed Rule
(日本語訳)連邦政府供給業者の気候リスクと回復力に関する提案規則

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  2. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(後編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  3. 【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    2025-8-6

    【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    ※本記事は、2025年7月31日時点の情報を元に作成しています。今後の動向により内容は随時更新され…

ピックアップ記事

  1. 2025-10-14

    【PR】10/28 サステナビリティパフォーマンスを重視した情報開示

    ISS ESG評価の視点と実務対応の最前線 ISSコーポレート・ソリューションズ(I…
  2. 2025-10-8

    欧州委員会、サステナビリティ報告関連法規(第三国ESRS)の制定を延期へ

    10月6日、欧州委員会は金融サービス分野における115の「重要ではない2次法(regulatory…
  3. SASBスタンダード対照表の作成ステップ(開示項目一覧表ダウンロード資料付)

    2025-10-7

    SASBスタンダード対照表の作成ステップ(開示項目一覧表ダウンロード資料付)

    サステナビリティ情報開示の質を高めることは、今や重要な経営課題である。単なる開示義務の遵守ではなく…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る