10月21日、国際的な資産運用会社であるRobecoは、「RobecoSAM Biodiversity Equities」の立ち上げを発表した。これは、自然に配慮した世界へと移行することで利益を得ることができる企業に向けた新しい株式戦略だ。
新戦略の投資対象には、天然資源や生態系サービスの持続可能な利用を支援することで生物多様性を保護・促進する企業や、生物多様性への脅威の軽減や自然生息地の回復に役立つ技術・製品・サービスなどが含まれる予定である。
WEFは、生物多様性の損失を気候変動や異常気象に次ぐグローバルリスクの第3位に位置づけており、世界の経済生産の半分以上が中程度または高度に自然に依存していることから、世界の経済・金融システムを脅かしていると指摘している。
また、WEFは、生物多様性に配慮した投資について、10兆ドル(約1,470兆円)以上と推定される「巨大な機会」を強調した。この機会は、主に食料、インフラ、エネルギーシステムを変革することによって現れるものであり、これらは合わせて自然損失の約80%を占めている。
Robecoは、生物多様性の損失の減少を止めるために、ソリューションを特定することを目指し、「人間の活動により、森林や植物、動物の自然生息地が日々破壊されている」といった課題に取り組むと述べている。
約250社のテーマ別ユニバースから、Robecoは、より持続可能な陸と海の活動をターゲットとした4つの投資クラスターに戦略を整理すると述べている。森林・林業、耕作地、都市環境を対象とした「持続可能な土地利用」、汚染防止・浄化・処理、生息地保護などの「淡水ネットワーク」、漁業養殖、海洋保護などの「海洋システム」、食品・繊維・原材料などの「トレーサブル製品」がその対象となる。
Robecoは、今回の発売について、「環境・気候関連銘柄全般への投資ではなく、テーマを絞ったスタイルで生物多様性を特に推進する商品を作るための1年以上の作業の集大成」と述べている。同社は1月に生物多様性へのアプローチをまとめたポジションペーパーを発表し、8月にRobecoは新戦略のシニア・ポートフォリオ・マネジャーとしてDavid Thomasを採用したと発表した。