9月12日、アフリカ開発銀行グループのケビン・ウラマ副総裁は、気候変動とその影響により、一人当たりのGDP成長率が5~15%低下しており、国別貢献目標を達成するには2022年から2030年の間に約1兆6千億ドル(約230兆円)が必要であると述べた。
カイロで開催されたエジプト国際協力フォーラム(Egypt-ICF 2022)のサイドラインで行われたパネルディスカッション「気候アジェンダ決定におけるアフリカ諸国のオーナーシップ」で、ウラマ氏は先進国に対して「気候資金のギャップ」を埋めるよう促した。
「2016年から2019年にかけて、アフリカ諸国は合わせて183億ドル(約2兆円)の気候変動資金しか受け取っていない」とウラマ氏は述べた。その結果、2020年から2030年まで、年間最大1,288億ドル(約18兆円)の気候変動資金ギャップが発生するという。
ウラマ氏は、1850年代以降、各国は石炭から脱却し、ガスをクリーンなエネルギーへの移行に利用してきたことを強調した。また、銀行を含む民間部門が利用できるグリーン投資の機会という点で、アフリカには大きな潜在力があると断言した。
また、9月15日、米国政府は、アフリカ開発銀行に対し、アフリカ全域のメタンガス排出削減の取り組みを支援するため、500万ドルの助成金を提供すると発表した。
本助成金は、米国内の手続きと承認を経て、アフリカ開発銀行が運営するマルチドナー・アフリカ気候変動基金に提供される。同基金は、気候変動への対応や低炭素化に関する幅広い活動を支援している。
アフリカ諸国のメタン排出に取り組むため、Climate and Clean Air Coalition(CCAC)とグローバル・メタン・ハブも追加資金を約束した。グローバル・メタン・ハブは、今後3年間で500万ドル(約7億円)を拠出する。政府、政府間組織、企業、研究機関の自主的なパートナーシップであるCCACは、120万ドル(約1.7億円)を提供する。
アフリカ開発銀行のケビン・カリウキ副総裁(電力・エネルギー・気候・グリーン成長担当)は、今回の寄付を歓迎し、 アフリカ気候変動基金(ACCF)内にメタン削減を支援する活動を創設する予定であると述べた。
アフリカ開発銀行は、エジプトのシャルムエルシェイクで開催されるCOP27において、アフリカ全域の廃棄物・エネルギー部門のメタン排出量を網羅したメタン基準報告書を発表する予定である。
同銀行はまた、2025年までに250億ドルの気候変動資金を動員すると約束しており、そのうちの50%以上を適応プロジェクトに割り当てるという。
【参照ページ】
(原文)Africa loses up to 15% of its GDP per capita annually because of climate change –African Development Bank Acting Chief Economist Kevin Urama
US government announces $5 million grant to support African Development Bank in tackling methane emissions
(日本語訳)アフリカは、気候変動のために、毎年一人当たりのGDPの最大15%を失っている – アフリカ開発銀行代理チーフエコノミスト、ケビン・ウラマ
米国政府は、メタン排出に取り組むアフリカ開発銀行を支援するために500万ドルの助成金を発表