8月29日、H2 Green Steel(H2GS)は、スウェーデン北部のボーデンで500万トンの鉄鋼プラントの建設を開始するにあたり、1億9000万ユーロ(約264億円)の資金調達を完了したことを発表した。
世界の製造業がサプライチェーンの脱炭素化を目指す中、化石燃料を使用しない鉄鋼の需要が大幅に増加すると予想される。鉄鋼は、世界的に最もCO2を排出するセクターの一つであり、このセクターからの温室効果ガスの総排出量は、世界の化石燃料の使用による直接排出量の7~9%を占めており、削減がより困難なセクターの一つとなっている。生産プロセスの燃料としてグリーン水素を使用することは、このセクターの脱炭素化を支援する重要な潜在的ソリューションの1つと考えられている。
2020年に設立されたH2GSは、世界初の大規模な化石燃料を使わない製鉄所を建設中で、本プロジェクトには、鉄鋼生産施設と一体化したギガスケールのグリーン水素プラントが含まれている。酸化鉄から酸素を取り除くために、グリーン電力で製造した水素を使用することで、通常発生するCO2の95%を回避することができる。H2GSは、製造工程で発生するエネルギー需要に100%再生可能エネルギー源の電力を使用し、2030年までに500万トンの非化石鉄鋼を生産することを目標としている。
H2GSは、すでに初期生産量の約60%を先行販売したと発表している。同社は最近、世界的なエネルギー・電力供給会社であるIberdrolaと、イベリア半島に投資額23億ユーロ(約3,195億円)を見込むグリーン水素製造用の1000MWプラントを建設し、同じ敷地内に年間250~500万トンのグリーン鋼板を生産できる製鋼施設を設置する可能性に合意したと発表した。
本資金調達は、昨年のシリーズAラウンドに続くものである。シリーズB資金調達ラウンドは、既存の投資家であるAltor Fund Vに加え、新たな投資家であるAMF、GIC、自動車・産業機器サプライヤーのシェフラーが主導した。シェフラーはすでにH2GSと商業パートナーシップを締結しており、今回新たに技術パートナーシップと株式投資を追加した。
本資金調達には、新規投資家のスウェーデン銀行ロブール・オルタナティブ・エクイティ、既存株主のバルガス、キングスパン、FAM、マルケガリア、IMAS財団、クリスティーナ・ステンベック、ダニエル・エックも参加している。
【参照ページ】
(原文)H2 Green Steel completes € 190 million funding round
(日本語訳)H2 Green Steel、260億円超の資金調達を実施