6月10日、採掘の継続的な改善の奨励を目的とした研究機関「責任ある採掘財団(RMF)」は、 鉱業界全体におけるESG課題についての報告書「Closing the gaps」を発行した。本報告書は、現在の慣行と社会の期待との間のギャップを埋めるために、最も根本的かつ緊急のシフトが必要な場所をピンポイントで指摘している。
「Closing the gaps」は、責任ある採掘の進捗を加速するための機会と重要な条件について、体系的な見解を示している。本報告書は、責任ある採掘に関連するエコシステム(関係者とその相互作用)の主要な側面に注目している。これには、鉱物バリューチェーンの関係者・政府・投資家・融資先・川下顧客・業界団体・自発的イニシアティブ・市民社会・労働組合など、業界の慣行とグローバルシステムに影響力を持つ関係者が含まれている。
また、本報告書では、社会における良心の呵責、システムにおける権力格差、政府の規制への消極性、司法へのアクセス、投資家にとっての利益とESGの間の緊張に対処する方法についての考察が、主な機会として取り上げられている。分析では、情報へのアクセス、市民による議論のための開かれた空間、責任ある採掘のための国際的に合意された規範の調和と成文化が重要であることを強調している。
本報告書は、責任ある採掘への主要なシフトを追跡するために使用できる4つの潜在的な指標を提示している。指標は以下の通り。
- ESG課題に対する説明責任と主体性を全機能と企業の高い階層に組み込んだESG主導のビジネスモデル。
- 企業とコミュニティの相互作用における力の格差と情報の非対称性を低減するための最小限のツールとして、公益データの有意義な情報共有。
- 有害な影響がどのように管理され、改善されているかについての開示を含む、権利に基づく被害防止へのアプローチ。
- 自国政府と生産国政府による責任ある採掘に関する国際的な行動。これには、法律や規制手段のより広範な適用と、責任ある採掘に関する国際的な政策手段に向けての協力が含まれる。
RMFは、持続可能な開発に対する鉱業の貢献を促進するために、他の組織やイニシアティブの成果・分析を参考に、将来を見据えた貢献として、本分析を共有している。
【参照ページ】
(原文)Closing the gaps…and accelerating progress on responsible mining
(日本語訳)責任ある採掘財団、鉱業界のESG課題に関する報告書を発行